McKinsey(マッキンゼー):エネルギー移行を支えるため、銅、ニッケル、リチウムの価格上昇が必要


米国のコンサルティング会社マッキンゼーが発表した『Global Material Perspectives 2024』によると、エネルギー移行の需要に対応するためには、銅、ニッケル、リチウムの価格が現在の水準から大幅に上昇する必要がある。2035年までに世界の需要を満たすためには、銅の価格は1トン12,000ドル、ニッケルは21,000ドル、リチウム炭酸塩は19,000ドルまで引き上げる必要があり、これは現在のロンドン金属取引所(LME)の銅3カ月物価格に対して27%、ニッケル価格に対して29%の上昇を意味する。

もし現在発表されているプロジェクトがすべて生産に至らなければ、これらの価格はさらに大幅に上昇する可能性があるとマッキンゼーは警告している。特に銅は、リチウムなど他の素材に比べて開発期間が長いため、2035年以前に供給不足に陥る見込みだ。2022年以降、リチウムとニッケルの需要は増加しているが、リチウムの価格は約80%、ニッケルは約20%下落している。これらの下落は業界の急激な変化ではなく、生産コストに近づく「正常化」の過程だと同社は指摘している。

需要を満たすためには、2035年までに最大5.4兆ドルの資本支出と270GWの電力が必要となる。加えて、マッキンゼーの調査によると、世界の産業関係者の15%未満が、低炭素金属に対して10%のプレミアムを支払う意欲を示しており、特に自動車およびエネルギー機器セクターがその例外だ。しかし、EUの排出権取引制度や炭素国境調整メカニズムなどの措置により、企業に対する炭素排出コストが上昇することで、この状況が変わる可能性がある。

パリ協定の目標をサポートするための脱炭素化は、必要とされるスピードよりも遅れて進行しており、金属や鉱業部門の排出量は今後10年間で15%減少する見込みだが、2035年には全世界の13%に相当する6ギガトンのCO2排出を占める可能性がある。

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