オーストラリアの経済担当官室(OCE)は、2024年から2026年にかけてのリチウム輸出収益予測を引き下げました。これは、スポジュメン(リチウム鉱石)の価格が予想よりも低く推移しているためです。9月に発表された資源・エネルギー四半期報告(REQ)によると、2024-25年度のリチウム輸出収益は63.5億豪ドル、2025-26年度は82億豪ドルと予測され、6月の予測(65.8億豪ドル、90.7億豪ドル)から大幅に下方修正されました。
需要減少と供給過剰が背景に
収益予測の下方修正は、スポジュメン価格の低下に起因していますが、OCEは2024-25年と2025-26年のリチウム生産が増加すると予測しています。リチウム需要の低迷は、特に電気自動車(EV)の販売成長の鈍化が影響しており、2022年の高価格に誘発された新しいプロジェクトの開始による供給過剰も状況を悪化させています。
6月のREQレポートでは、2024年と2025年のスポジュメン価格はそれぞれ1,107ドル/トン、1,227ドル/トンと予測されていましたが、9月の報告では1,056ドル/トンに修正され、2025年には1,131ドル/トン、2026年には1,167ドル/トンと穏やかに回復すると予想されています。
オーストラリアのスポジュメン生産量は2023-24年度に約41.8万トンの炭酸リチウム等価物(LCE)でしたが、OCEは2024-25年度に47.1万トン、2025-26年度には55.8万トンに増加すると予測しています。しかし、今年のリチウム市場の低迷により、ミネラルリソース社、Arcadium社、Core Lithium社など、豪州のリチウム生産者は生産縮小や一時停止を余儀なくされています。
業界関係者によると、リチウム市場の見通しは「暗い」とされ、短期的な回復は期待できず、開発者たちは投資確保にも苦労している状況です。ミネラルリソース社のクリス・エリソン社長は、リチウム価格が来年初めまでに回復しなければ、多くのリチウム事業が閉鎖されるだろうと警告しました。