Northvolt |
ドイツは、次世代エネルギー貯蔵技術として、ナトリウムイオン電池の開発を本格化させています。電池サプライヤーのVartaが率いる15の作業グループからなるコンソーシアムは、産業規模でのナトリウムイオン電池技術の開発に着手しました。この「Entise」プロジェクトは、ドイツの教育・研究省から5月に承認を受け、7.5百万ユーロ(約8.31百万ドル)の投資を受けています。
ドイツの戦略的な電池技術の動き
このプロジェクトは、ナトリウムイオン技術をリチウムイオン電池に代わる競争力ある選択肢として推進する欧州連合(EU)の取り組みの一環です。EUは2021年に始動したバッテリー研究を加速させる925百万ユーロ規模の「BATT4EU」プロジェクトを通じて、ナトリウムイオン電池にも多額の資金を投入しています。ナトリウムイオン電池は、リチウムイオン電池に比べて安価な材料で製造できる点が注目されています。
スウェーデンのNorthvoltやAltris、米国のFluorなど、いくつかの企業は公的資金を受けずにナトリウムイオン電池の開発に取り組んでいますが、電気自動車(EV)の需要低迷やバッテリー材料の価格下落により、投資のペースは鈍化しています。ドイツは2030年までに欧州のリチウムイオン電池生産能力の21%を占めると予測されており、ハンガリーやフランスを上回るシェアを誇りますが、それでもなお中国が主導する市場に対抗するには課題が残ります。
ナトリウムイオン電池の世界需要における役割
国際エネルギー機関(IEA)によれば、ナトリウムイオン電池は2030年までに世界のバッテリー需要の1%未満に留まると予測されています。しかし、ナトリウムイオン電池はグリッド規模の貯蔵や輸送、消費者向け電子機器、さらには航空宇宙や防衛産業など幅広い用途で使用される可能性があります。リチウムイオン電池よりも大きめですが、木材やバイオ廃棄物から製造できる硬質炭素をアノード(負極)に、鉄を含むプルシアンホワイトをカソード(正極)に使用することで、より安価に生産できる点が期待されています。