ANGLO AMERICAN |
欧州のステンレス鋼メーカーは、2026年にEUのカーボン国境調整メカニズム(CBAM)が本格導入されるまで、ニッケル銑鉄(NPI)の輸入と使用を継続すると、アングロ・アメリカンのステンレス鋼および特殊鋼原料販売責任者であるジョン・イーストウッド氏が語った。2023年1月から7月にかけて、欧州は約10,000トンのニッケル含有NPIをインドネシアから輸入したと、Red Door Research社のジム・レノン氏が明らかにしている。
欧州ではステンレス鋼スクラップの供給不足と原材料コストの高騰により、製造業者がインドネシア産の安価で炭素排出量の多いNPIに頼らざるを得なくなった。今年はスペインのAcerinox社が5か月のストライキ後に生産を再開し、NPIを使用する計画であると伝えられている。
CBAMによる規制は2026年に本格化
10月2日に開催されたニッケル協会セミナーで、イーストウッド氏は、スクラップ価格の下落にもかかわらず、CBAMの完全導入まではNPIの使用が続くと予測している。現在試行段階にあるCBAMは、域外から輸入される製品のCO2排出量を相殺するために、輸入業者に排出証書を購入することを義務付ける仕組みである。
さらに、イーストウッド氏は、欧州のステンレス鋼産業が2025年に3年連続で実質需要減少を経験すると予想しており、特にフラット製品メーカーは供給過剰に直面していると述べた。Acerinox社が今年数か月にわたり市場から撤退しても、フェロニッケルの販売には大きな影響はなく、市場の弱さを物語っていると強調した。