EU、炭素国境調整メカニズム(CBAM)を下流産業へ拡大検討

EU, CBAM

欧州委員会は、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の適用範囲を下流産業に拡大する可能性を検討している。現在のCBAMは主に上流産業を対象としているが、鉄鋼輸入価格の上昇が下流製品のコストを押し上げ、輸入品がEU内製品よりも魅力的になるリスクが指摘されている。

欧州鉄鋼連盟(Eurofer)をはじめとする業界団体は、CBAMの拡大を強く支持している。彼らは、炭素排出削減や輸入管理の強化には下流製品への適用が不可欠であると主張する。一方、イタリア鉄鋼協会のパオロ・サンゴイ会長は、下流産業への影響が考慮されなければCBAMの効果が限定的になると警告している。

スペインの鉄鋼協会Unesidやルクセンブルクに拠点を置く鉄鋼メーカー、アルセロール・ミッタルも、迅速かつ効果的な貿易対策を求め、CBAMの拡大とともにEU市場保護のための対策を訴えている。

さらに、カナダや米国、ASEAN諸国でも独自のCBAM導入が検討されており、英国は2027年にCBAMを導入予定だが、英国の鉄鋼業界団体UK Steelは導入時期を2026年に早めるよう求めている。

コメントを投稿