ロンドン上場の鉱山会社アンタフォガスタは、2025年の銅生産予測を維持し、出力が前年と横ばいとなる見込みです。これにより、同社はチリのセンティネラ鉱山での銅濃縮物の増産が寄与するものの、全体的な生産量に大きな変化はないとしています。
2024年および2025年の銅生産見通し
アンタフォガスタは、2024年の銅生産について、当初の予測範囲である67万〜71万トンの下限に達する見込みだと発表しました。2025年については、66万〜70万トンの生産を予測しており、センティネラ鉱山での増産がわずかな影響を与えるものの、全体の生産量はほぼ横ばいとしています。増産は、同鉱山での銅濃縮物の生産量増加に起因しており、詳細な情報は明らかにされていません。
第三四半期の生産実績
アンタフォガスタは、2023年第三四半期に銅生産量が前年同期比で3%増加し、17万9,000トンとなったと報告しています。この増加は、ロス・ペランブレス鉱山での在庫の一部解消と、センティネラ鉱山での銅の品位(グレード)および回収率の改善によるものです。また、前四半期比で15.3%の生産増を記録しました。
銅の販売とモリブデンの生産
銅の販売量は、前年同期比で11.4%増加し、17万6,500トンとなりました。また、前四半期比で9.3%増加しました。しかし、モリブデンの生産量は前年同期比で15%減少し、2,700トンとなりました。これに対し、前四半期比では8%の増加を見せました。
チリの銅生産の重要性
チリは、世界最大の銅生産国であり、アンタフォガスタのロス・ペランブレス鉱山やセンティネラ鉱山など、同社の主要な鉱山の所在地でもあります。アンタフォガスタは現在、チリ国内で4つの鉱山を運営しており、世界の銅供給において重要な役割を果たしています。今回の予測通りの安定した銅生産計画は、特に電気自動車(EV)や再生可能エネルギーなど、銅需要の高まりに対応する上での重要な要素となっています。
2025年の生産見通しの維持は、アンタフォガスタが安定した生産体制を維持し、今後の市場動向に柔軟に対応できる体制を構築していることを示しています。