欧州鉄鋼協会(ユーロフェル)は、ベトナムおよびインドから輸入されるホットディップ亜鉛メッキ鋼板(HDG)について、反ダンピング調査を欧州連合(EU)に対して正式に要請した。同協会からの公式なコメントは出ていないものの、業界関係者はベトナム産の製品に対する調査が行われる可能性があると予想していた。
インドからのHDG輸入については、すでに4Aカテゴリーが55,000トン、4Bカテゴリーが78,000トン以下とクオータによる制限が設けられている。最近の数四半期で、インドの4Aクオータは急速に消化される傾向にある一方で、4Bクオータにはまだ余裕がある状況だ。
ベトナム産の影響は特に大きく、今年1月から7月の間、月平均で10万トン以上のHDG輸入量を記録しており、昨年の月平均6万トンを大幅に上回っている。同様に、インド産HDGの輸入も増加しており、今年の1月から7月で月平均7万トン近くに達し、昨年の約4.5万トンからの増加を見せている。その他の国、例えば台湾、韓国、チュニジア、そして既に17.2%から27.9%の反ダンピング関税が課せられている中国なども、欧州市場向けの輸出を増やしている。
HRC輸入調査と合わせた保護措置の強化
HDG調査の要請は、EUが既に進行中の熱延コイル(HRC)輸入に対する調査とも関連している。HRC調査は、今年7月に設定された各供給元のシェアを15%に制限するクオータ改定に応じて、8月8日に開始された。欧州委員会は9月24日以降、反ダンピングおよび反補助金の調査が行われている国からの全製品を登録し、今後必要な場合には遡及的な関税を課すための措置を講じた。HRCに関する暫定措置は来年3月8日までに導入される予定で、これはグローバルな供給過剰が欧州鉄鋼産業に及ぼす影響を抑えるための包括的な防衛策の一環と見られる。
こうした動きは、グローバル市場が急速に成長する中、ヨーロッパが競争力を維持するための貿易保護措置として位置づけられている。