Worldstainless |
2024年上半期、世界のステンレス鋼生産量は前年比6.3%増の3037万トンに達したことが、ベルギー拠点の産業研究機関「Worldstainless」の最新データで明らかになりました。この成長は主に中国とアジア諸国に支えられており、特に中国では5.9%増の1875万トンと、世界最大の生産国としての地位をさらに強固にしました。中国と韓国を除くアジア諸国でも、産業需要の増加を反映して9%増の362万トンと力強い成長を記録しました。
一方、ヨーロッパは主要生産地域の中で最も低調な結果となり、前年比わずか0.3%増の314万トンにとどまりました。エネルギーコストの上昇や経済的不透明性が生産の足かせとなっているとみられています。一方、ブラジル、ロシア、南アフリカ、韓国、インドネシアを含む地域グループでは、前年同期比10%増の384万トンと顕著な伸びを見せ、アメリカ合衆国でも9%増の103万トンと力強い回復が見られました。
特にインドネシアは、2024年下半期から2025年にかけて、世界市場の成長を左右する重要なプレーヤーとして注目されています。同国はステンレス鋼の主要原料であるニッケルの世界最大の生産国であり、製鋼業への積極的な投資と生産能力の拡大により、付加価値産業へのシフトを加速しています。
ステンレス鋼生産量の増加は、各地域での産業需要の回復を反映しており、特にアジアやアメリカの市場の強さが顕著です。しかし、ヨーロッパの停滞は構造的な課題を浮き彫りにしており、今後の市場バランスに影響を与える可能性があります。インドネシアの成長軌道と世界的な需要と供給のバランスが、業界の将来を大きく左右するでしょう。