欧州鉄鋼協会(EUROFER)とヨーロピアン・アルミニウム協会は共同声明を発表し、欧州委員会に対しスクラップの流出問題への対応を求めました。一方で、リサイクル業界の団体EuRICは規制導入に反対を表明しています。
欧州からのスクラップ流出は増加の一途をたどっています。EUからの鉄スクラップ輸出量は2015年の914万トンから2023年には1,892万トンに倍増しました。また、アルミスクラップの輸出はここ数年で年間約100万トンに達し、2023年には120万トン、2024年末にはさらに増加して130万トン超となる見込みです。
主な原因として、第三国の処理業者による高額な買い取り価格が挙げられます。これらの国々は、補助金を利用しながらリサイクル能力を強化しており、欧州の競争力に悪影響を及ぼす不公正な市場競争と過剰供給を引き起こしています。
リサイクルと規制を巡る意見の対立
EUROFERとヨーロピアン・アルミニウムは、欧州におけるアルミニウムや鉄のリサイクルを拡大することは、これらの産業の脱炭素化だけでなく、EUの循環経済目標達成に不可欠であると主張しています。リサイクルにより、一次生産に比べてアルミニウムで最大95%、鉄鋼で最大80%のエネルギーを削減できるとされています。
“アルミスクラップと鉄スクラップはEU経済にとって戦略的な二次原料であり、EUの目標達成に向けた重要な手段です。これらの役割は、将来の循環経済法で強調され、活用されるべきだと考えます”と声明で述べられています。
同団体は、マリオ・ドラギ氏の報告で提案されたアプローチを考慮し、重要原料の輸出規制を課している第三国へのスクラップ輸出を制限する措置を求めています。また、EUの「外国補助金規制」「廃棄物輸送強化規則」「重要原材料法」などを活用し、スクラップ輸出の流れを厳格に管理する制度を提案し、「使用済み車両指令」の見直しも推奨しています。
一方、リサイクル業界団体EuRICは、規制導入に対して警告を発しています。
“スクラップ輸出はリサイクル企業の存続を支えています。EU域内の二次原料需要が極端に低い中で、これが重要な役割を果たしています”とEuRICは主張しています。同団体は、スクラップ輸出の停止は欧州の競争力や脱炭素化、デジタル化の移行に悪影響を及ぼす可能性があると警告。リサイクル業界の貢献を評価し、持続可能な発展を促す政策を求めました。
国際リサイクル局(BIR)によると、2024年上半期におけるEUのスクラップ消費量は前年同期比8.8%増の4,361万トンに達しました。一方で、同期間のスクラップ輸出量は前年同期比18.7%減の736万トンとなっています。