デスクトップメタル、Nano Dimensionを相手取った新訴訟でMarkforgedを指名


 マサチューセッツ州を拠点とする産業用3Dプリンタメーカーのデスクトップメタル(Desktop Metal、以下DM)は、Nano Dimensionを相手取った2件目の訴訟を起こし、Markforgedを新たな被告に加えました。また、デラウェア衡平法裁判所は、2月24日の週に予定されているDMによるNano Dimensionへの最初の訴訟で迅速な審理を行う申し立てを承認しました。

DMは新たな訴訟で、2024年9月に発表されたNano Dimensionによる1億1500万ドルのMarkforged買収計画が、同社との合併契約に違反すると主張しています。現在、米国外国投資委員会(CFIUS)の承認を得るための遅れが続く中、Markforgedの買収が合併完了を脅かすとしています。DMは裁判所に対し、合併が完了するまでNano DimensionとMarkforgedによる取引の最終化を差し止める命令を求めています。

DMのリック・フロップCEOは以前、Nano Dimensionとの合併が失敗すれば、同社にとって「致命的な予後」となると述べており、両社にとって「重要な戦略的機会」をもたらす合併が迅速に完了することへの自信を再確認しています。


Nano Dimensionとの迅速な審理の開始

2024年7月、Nano DimensionがDMを全額現金取引で買収する計画が発表されました。この取引額は約1億8300万ドルで、1株あたり5.50ドルに相当します。合併後の新会社は、成長を加速し、株主価値を長期的に向上させるための基盤を提供するとされています。また、2023年度の共同売上高は2億4600万ドル、そのうち28%が継続的な収益と予測されています。

しかし、DMは財務的課題に直面しており、2024年第2四半期の収益は前年同期比26.9%減の3890万ドル、営業損失は108.8%増の1億130万ドルとなりました。フロップCEOは、Nanoとの合併を「最良の選択肢」として推奨しており、この取引が完了しない場合、同社の存続が危ういと指摘しています。

同年12月30日、デラウェア衡平法裁判所は、CFIUSによる規制承認を得るためにNanoが「合理的な最善の努力」を怠ったとして、DMによる迅速な審理の申し立てを承認しました。この審理は2025年2月最終週に予定されています。一方で、Nanoはこれに反論し、訴訟を「無根拠」とし、合併契約条件に矛盾すると述べています。


Markforged買収を巡る新訴訟

2024年12月31日、DMはNano Dimensionに対する2件目の訴訟を起こしました。この訴訟では、NanoがMarkforgedの買収に合意したことが、合併を妨げる取引を行わないという契約義務に違反していると主張しています。DMは当初、Markforgedの買収が自社の取引に影響を与えないと考えていましたが、CFIUS承認の遅れにより、Markforged取引が「政府機関による合併の遅延または防止のリスクを著しく高める」と懸念を表明しています。


Nano Dimensionの合併計画はどうなるか

Nano Dimensionの取締役会の変動や株主間の争いは、合併計画にさらなる疑念をもたらしています。2024年12月の株主総会では、当時のCEOヨアブ・スターン氏が解任され、後任としてジュリアン・レダーマン氏が暫定CEOに就任しました。

Murchinson Ltd.はこの動きを歓迎し、過去および現在の買収の是非を慎重に検討することを求めています。NanoのM&A活動を批判してきたMurchinsonは、取締役会再編が株主からの「強力なメッセージ」となると強調しています。

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