2025年の亜鉛価格下落予測:供給増加と需要低迷が影響

亜鉛

供給増加と建設・自動車業界の需要低迷が価格に圧力

2025年の亜鉛価格は、供給の増加と主要市場の需要低迷により下落が予想されている。2024年は供給不足と採掘の混乱により価格が上昇したが、2025年には供給の改善と需要の鈍化により市場は弱気に転じる見通しだ。


2024年の価格動向と市場要因

亜鉛は2024年のロンドン金属取引所(LME)において注目すべき上昇を記録し、12月には1トンあたり3,000ドルを超え、1月の2,537ドルから上昇した。この6%の上昇は、主にグレンコアのオーストラリア・マッカーサーリバー鉱山やMMGの中国・ダガルドリバー鉱山などでの生産停止による供給不足が要因となった。2024年の亜鉛市場は16万4,000トンの供給不足に陥ったが、2025年には供給環境が大きく変化する見込みである。


2025年の供給改善と価格見通し

国際鉛亜鉛研究会(ILZSG)は、2025年の亜鉛市場が14万8,000トンの供給過剰に転じると予測している。その要因の一つが、コンゴ民主共和国のイワンホー・マインズによるキプシ鉱山の再開であり、年間27万8,000トンの生産が見込まれる。この鉱山はアフリカ最大の亜鉛鉱山であり、世界第4位の規模となる。

欧州でも生産増加が見込まれ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ポルトガル、アイルランドのタラ鉱山の再稼働などが供給を押し上げる。さらに、ロシアのオゼルネオエ製錬所の稼働開始をはじめ、オーストラリア、カナダ、中国、日本、オランダ、ノルウェーでも亜鉛精鉱の供給が増加する見通しだ。マッコーリーの予測によると、2025年の世界の採掘供給量は5.8%増加し、新規プロジェクトで57万トンの追加供給が見込まれている。


需要の低迷と価格への影響

一方で、建設・自動車業界の需要は低迷が続く見通しだ。特に中国の建設業界では鋼材需要が減少し、欧州の自動車産業も低迷している。フォルクスワーゲンは複数の工場閉鎖と数千人規模のリストラを発表するなど、需要減少の影響が顕著だ。

マッコーリーの予測では、2025年の世界の亜鉛需要成長率は1.7%と、以前の2.5%予測から下方修正された。さらに、米国の次期政権が導入を検討する新たな関税が、市場の不確実性を高める要因となっている。

世界銀行およびフィッチ・レーティングスは、2025年の亜鉛価格が平均2,600ドル/トン、2026年には2,500ドル/トンまで下落すると予測している。マッコーリーも同様に、2025年は2,650ドル、2026年には2,450ドルまで下がると見ている。

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