英国政府、鉄鋼業支援へのコミットメントを再確認—25億ポンド投資を発表

英国政府は、鉄鋼産業の支援と雇用保護を目的として、25億ポンド(31億5000万ドル)を投資する方針を改めて表明した。政府の発表によると、この資金の一部は新設された「国家富基金(National Wealth Fund)」から拠出される。

「この投資は、スカンソープ、ロザラム、レッドカー、ヨークシャー、スコットランドなど、鉄鋼生産の歴史を持つ地域に恩恵をもたらす可能性がある。電気アーク炉(EAF)の導入や英国の鉄鋼能力の強化など、産業の長期的な発展を支える取り組みに充てられる」と声明は述べている。

また、ジョナサン・レイノルズ(Jonathan Reynolds)ビジネス・貿易相が、鉄鋼業の長期的な課題に対処するための協議計画を開始すると発表。協議では、高額な電力価格、不公正な貿易慣行、スクラップリサイクルの課題、電気アーク炉への移行に伴う影響などが議題となる予定だ。

政府はすでに即時支援策を実施している。その一例として、ヒースロー空港が先週発表した数百万ドル規模の投資では、40万tの鉄鋼が必要となり、鉄鋼業のサプライチェーンを強化し、経済成長を促進する「変革のアジェンダ」の一環とされる。

さらに、公共調達制度を簡素化し、「産業戦略」に沿った形で英国企業—特に鉄鋼業界—が政府契約を獲得しやすい環境を整備。

「これは、新政権発足後数週間以内にポート・タルボット(Port Talbot)向けの支援策を決定し、同地域の生産を近代化する電気アーク炉導入を推進することや、『British Industry Supercharger』の導入により鉄鋼企業の電力コストを削減し、国際競争力を高める取り組みと並行して行われる」と声明は続く。

これらの措置は、英国鉄鋼業の未来を確保するための政策公約の一環として実施される。

「政府は鉄鋼評議会(Steel Council)と緊密に連携し、今春の『鉄鋼戦略』発表に向けて準備を進める。戦略策定後も定期的に協議を行い、全国の鉄鋼コミュニティへの投資促進を図る」と政府は述べた。

なお、英国は米国政府に対し、英国製鉄鋼・アルミニウムに新たな25%関税を課さないよう働きかけている。英国政府は、これらの金属が米国の製造業や国防にとって重要な役割を果たしていると主張している。

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