ドバイの新たな建築基準—世界最大の3Dプリントラウンジ内装が誕生

DA BUREAU

英国ロンドンを拠点とする建築スタジオ「DA BUREAU」は、ドバイのシティウォークにあるシーシャラウンジ兼レストラン&バー「MYATA Platinum Lounge」において、世界最大の3Dプリントを活用したレストラン内装を公開した。

来場者を迎えるのは、27の独特な峡谷状の構造物。これらは合計2万以上の3Dプリント部品によって構成されている。

リサイクル素材を活用した3Dプリント技術

具体的なプリンターのブランドは非公開だが、35台の3Dプリンターを使用し、リサイクルプラスチックを原材料として製作。その後、質感を持たせた塗装が施されている。この取り組みは、持続可能な建築の一環として、2030年までに年間880万トンの炭素排出削減を目指すドバイの環境戦略にも寄与している。

「私たちは砂岩の峡谷をモチーフにデザインしました。峡谷は風と水によって形を変える地質構造であり、その流れるような有機的な形状を現代的な解釈で再現しました」と、DA BUREAUのCEO兼共同創設者であるボリス・ロヴォフスキー氏は語る。

また、3Dプリント技術を駆使し、空間を内向的で没入感のあるものへとデザイン。ファンネル型の入口を採用し、外部から内部の視線を遮断しながら、段階的に広がるメインラウンジへと誘導する構造になっている。

3Dプリント建築の成長とドバイの事例

中東地域の建設市場は、2021年から2025年にかけて年平均成長率(CAGR)6.4%で拡大すると見込まれており、環境配慮型プロジェクトへの関心も高まっている。

代表的な例として、不動産開発大手エマール・プロパティーズ(Emaar Properties)が手掛けたドバイ初の3Dプリントヴィラがある。この202㎡の住宅は、3つの寝室、4つのバスルーム、書斎、カーポートを備え、COBODのBOD2 3Dプリンターを活用して建設。湾曲した壁や広い窓を採用し、建設廃棄物の削減を実現した。このプロジェクトは、ドバイの「スマートシティ」構想の一環であり、2030年までに建設の25%を3Dプリント技術で行う計画を支えている。

さらに、イタリアの3Dプリンター企業WASPは、高級ブランド「ディオール(Dior)」向けに、天然素材のみを使用した3Dプリントのビーチハットを制作。ブランドのバッグやビーチコレクションを展示する専用スペースとして活用されている。

3Dプリントのインテリアデザインへの応用

3Dプリント技術は、持続可能性と芸術性を融合させたインテリアデザインにも広がりを見せている。カナダ・ウォータールー大学建築学部では、3Dプリントによるカナダ初の煉瓦壁「Hive」を制作。175個の独自設計された粘土ブロックから成るこの構造は、トロントのIMCO(Investment Management Corporation of Ontario)本社の受付エリアに恒久設置されている。

また、3Dプリンターメーカー「Flashforge」は、家具デザインへの応用を進め、試作期間を7~10日から2~3日に短縮することに成功。これにより、製造プロセスの効率化や柔軟性の向上が可能となり、3Dプリント技術のインテリア分野での将来性を示した。

コメントを投稿