コンゴ民主共和国のコバルト輸出4カ月停止、価格下支え要因に

コバルト

コンゴ民主共和国(DRC)がコバルトの輸出を4カ月間停止する方針を決定したとの報道が2月24日夜、市場に広がった。DRCは世界最大のコバルト供給国であり、この措置は短期的にコバルト価格を支える可能性がある。ただし、長期的な価格動向は、世界的な需給バランスや技術革新、EV産業の発展など複数の要因に左右される。

DRCにおけるコバルト生産の増加は、銅価格の上昇と密接に関係している。コバルトは銅の随伴鉱物であり、銅需要の増加がコバルト生産を押し上げる要因となっている。特に中国冶金科工(CMOC)傘下のTFM(Tenke Fungurume Mine)やKFM(Kisanfu Mine)での生産増加が顕著だ。


急増するDRCのコバルト生産と供給過剰

DRC中央銀行の統計によると、2024年1~11月の同国のコバルト出荷量(金属量換算)は18万4000トンに達し、前年同期比で55%増加。2024年の年間出荷量は約20万トン(金属量換算)に達したと推定され、前年比44%の大幅増となった。

一方、Mysteelの推計によれば、2024年の世界のコバルト原料生産量は26万トンと、前年比16.3%の増加を記録。供給過剰が続く状況を示している。

DRCのコバルト生産拡大は、銅鉱山の拡張と密接に関連しており、特にCMOCグループのTFMやKFMにおける生産増加が供給過多の要因となっている。銅需要の拡大に伴い、これらの銅鉱山から副産物として産出されるコバルトの供給量も増加し、市場の供給圧力が強まっている。


EV市場の成長とコバルト価格の行方

コバルトの主要用途は、電気自動車(EV)や電子機器向けのバッテリーだ。EV市場の急成長がコバルト需要を押し上げているが、DRCをはじめとする主要生産国の持続的な供給増加と需要の伸び悩みが価格の下落を招き、国内外市場で歴史的な低水準にある。

こうした中、DRCの4カ月間の輸出停止は、供給削減を通じて価格安定を狙った措置とみられるが、その効果は限定的との見方が強い。

仮にDRCがコバルト輸出を停止すれば、短期的には供給減少による価格の下支え要因となり、特にDRC産コバルトに依存する市場では影響が大きいと考えられる。しかし、4カ月の輸出停止だけでは、世界的な供給過剰という長期的な価格トレンドを覆すには不十分とみられる。


長期的な価格動向を左右する要因

長期的には、コバルト価格はEV需要の動向や代替材料の開発、技術革新(全固体電池など)によって左右される。EV市場の成長が続けばコバルト需要も増加するが、一方でコバルトリサイクル技術の進展は新たな供給源となりうる。

したがって、仮にDRCが一時的に輸出を停止したとしても、長期的な需給バランスこそがコバルト価格を決定づける主要要因となる。


まとめ

DRCの4カ月間のコバルト輸出停止は、世界最大の供給国による措置であり、短期的にはコバルト価格の下支え要因となる可能性がある。しかし、長期的な価格動向は、需給バランスや技術革新、EV市場の発展など複数の要因に左右されるため、一時的な供給制限だけでは根本的な価格上昇にはつながりにくい。



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