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NRE |
中国の大手軽希土類メーカーである北方稀土(NRE)は、内モンゴル自治区包頭市に希土類酸化物(REO)の新プラントを建設する計画を発表した。本プロジェクトは、廈門タングステン(Xiamen Tungsten)傘下の昌亭金龍(Changting Golden Dragon)との共同開発となり、中国の希土類分離・加工能力を強化する重要な一歩となる。
酸化希土類プロジェクトの詳細
総投資額は4億5,700万元(約6,260万ドル)で、包頭市昆都侖(Kundulun)経済技術開発区に年産5,000トンの酸化希土類生産ラインを設置する。出資比率は北方稀土が51%、昌亭金龍が49%を占める。
操業開始時期は未定だが、中国政府の希土類加工能力の拡充戦略に沿ったもので、プラセオジム、ネオジム、ランタン、セリウムなど、ネオジム鉄ボロン(NdFeB)磁石産業に不可欠な元素の供給を強化する狙いがある。
北方稀土は2022年にも1億500万元を投じて昌亭金龍の持分を追加取得しており、プラセオジム・ネオジム金属、ランタン金属、ランタン・セリウムミッシュメタルの優先供給契約を締結するなど、戦略的提携を強化している。
北方稀土の業績と市場動向
北方稀土の最新決算は、希土類価格の変動により複雑な推移を示している。
- 2024年第3四半期
- 売上高:85億6,000万元(前年比1.5%増)
- 純利益:3億5,992万元(前年比11%増)
- 2024年1-9月累計
- 売上高:215億5,000万元(前年比14%減)
- 純利益:4億532万元(前年比71%減)
利益の大幅減少は、希土類価格の下落が主因である。特に、EVモーターや風力タービン、産業用磁石に不可欠なプラセオジム・ネオジム(Pr-Nd)金属の価格は、2024年1-9月で前年比28%減の1kgあたり477元(工場渡し価格)まで下落した。 一方で、磁石メーカーによる在庫補充需要の増加や、中国政府の希土類採掘枠の引き締めが、市場の安定化に寄与している。
展望
北方稀土の新プラント建設は、中国の希土類供給網の支配力をさらに強化するものとみられる。今後、EVや再生可能エネルギー分野の需要拡大により、市場の成長が期待されるものの、価格の変動や世界的な需要の不透明感が、2025年の希土類業界の課題となりそうだ。