アングロ・アメリカン、カナダの石炭資産を売却 コンマ・リソーシズが事業継承

Anglo American
英資源大手アングロ・アメリカン(Anglo American)は、カナダのピースリバー・コール(Peace River Coal, PRC)事業の売却を完了し、コンマ・リソーシズ(Conuma Resources)が新たな運営主体となる。

今回の取引では、2014年から操業を停止していたPRCの全株式が譲渡された。

アングロ・アメリカンの法務・企業渉外担当ディレクターであるリチャード・プライス氏は「ピースリバー・コールをコンマ・リソーシズに売却できたことを喜ばしく思う。新たな経営の下で資産が生産再開することを期待している」とコメント。

また、「ピースリバー・コールの高品質な製鉄用炭鉱区は、コンマ・リソーシズの年間500万トンの生産能力に加わることで、持続可能な事業運営の基盤となる。ファースト・ネーションズ(先住民族)のパートナーや全てのステークホルダーにとって、資産が持続的な成長を遂げることを願っている」と述べた。

持続可能な鉱業を目指すコンマ・リソーシズ

コンマ・リソーシズのブライアン・サリバンCEOは、「PRCの取得は、地域社会やビジネスパートナーに対する当社の責任と関与の証である」と強調。

「ファースト・ネーションズ、アングロ・アメリカン、ブリティッシュコロンビア州の規制当局と協力し、カリブーの保護・回復プロジェクトやその他の環境負荷低減施策に取り組んでいく。持続可能な鉱業の道を共に歩んでいく」と述べた。

今回の売却の一環として、コンマ・リソーシズは2012年にソルテオ(Saulteau)およびウェスト・モーバリー(West Moberly)のファースト・ネーションズが開始した「カリブー回復プロジェクト」への支援を継続する。

具体的には、カリブーの生息地を保全するために特定の鉱区権を放棄し、回復支援策を導入する予定だ。

ファースト・ネーションズの展望

ソルテオ・ファースト・ネーションズのルディ・パケット首長は、「今回の発表は、環境保護、条約の尊重、持続可能な鉱業の長期的な確立が両立可能であることを示している」と評価。

「協力することで、絶滅危惧種であるカリブーの回復、投資の誘致、ブリティッシュコロンビア州およびトリーティ8(Treaty 8)地域における熟練職の創出・保護が実現できる」と述べた。

また、ウェスト・モーバリー・ファースト・ネーションズのローランド・ウィルソン首長は、「過去、資源採掘企業はトリーティ8の地にやってきては、土地を荒廃させ、汚染したまま去っていった」と指摘。

「しかし、現在、アングロ・アメリカンやコンマ・リソーシズのような企業と共に、新たな道を切り開いている。カリブーの保護、地域社会の発展、そして私たちの生活様式の維持に貢献する持続可能な開発プロジェクトを推進していく」と述べた。

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