Alacero |
ラテンアメリカの鉄鋼メーカーが、ドナルド・トランプ米大統領の政権に対し、不公正貿易慣行と中国の過剰生産から自国の産業を守るため、戦略的提携の形成を提案している。これは、ラテンアメリカ・ポストが報じたもの。
ラテンアメリカ鉄鋼協会(Alacero)は、現在の国際情勢が米州各国にとって地域的なサプライチェーンを構築する歴史的な機会を提供すると指摘する。
米州鉄鋼業界の連携による中国対策
約60社の鉄鋼メーカーを代表し、年間6,000万トンの生産能力を持つAlaceroは、米国が導入した鉄鋼・アルミニウム関税の無差別的な適用を非難した。同協会は、ラテンアメリカ諸国をダンピング対象に含めた決定に失望を表明している。
ラテンアメリカの鉄鋼業界も、中国産の安価な鉄鋼流入による影響を受けており、トランプ氏が対抗すると約束した中国の不公正貿易によって苦しんでいる。地元の鉄鋼メーカーは、米国と中国の貿易戦争の「巻き添え被害」を受けることを懸念している。
Alaceroは、米国鉄鋼メーカーと米政府が戦略的提携を結ぶことで、中国の不公正貿易に対抗できると提案する。米州内での鉄鋼供給網を統合することで、安全保障上の懸念に対応し、予期せぬ世界的な供給不足のリスクを軽減できると考えられる。
また、ラテンアメリカの鉄鋼企業は、特定の鋼材の生産において高度な技術と豊富な経験を有し、米国の国内供給を補完する能力を持つ。さらに、同地域の鉄鋼業界は比較的低い炭素排出量を特徴としており、環境負荷の低減にも寄与する。
地域統合による中国依存度の低減
Alaceroの提案する戦略的提携は、米州内の鉄鋼供給網を強化し、中国のような遠隔地の生産者への依存を減らすことを目的としている。米国とラテンアメリカ諸国は、二国間協定や地域協定を通じて協力を進める可能性がある。
メキシコ、ブラジル、アルゼンチンをはじめとする多くのラテンアメリカ諸国は、これまでに中国産鉄鋼に対するアンチダンピング措置を導入または強化してきた。しかし、補助金を受けた輸入品や市場価格を下回る価格の輸入品との競争は依然として続いている。
一方で、GMKセンターが以前報じたように、トランプ政権は3月12日より鉄鋼・アルミニウム製品に一律25%の関税を課す決定を下しており、貿易相手国からの懸念が高まっている。