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Aluminum Association |
アルミ価格の動向 – 価格調整とプレミアムの上昇
関税発表を前に、輸入業者はアルミニウム・プレミアムが最大0.20ドル/ポンド上昇する可能性を指摘していた。**11月1日以降、ミッドウエスト・プレミアムは0.0965ドル/ポンド(48.28%上昇)、3カ月先物価格は0.1734ドル/ポンド(79.72%上昇)**と、予測通りの急騰を記録した。しかし、依然として新たな高値を模索している。
一方、LMEアルミ価格は横ばい圏にあり、1月には2.28%の小幅上昇、2月前半にはさらに1.17%の上昇にとどまった。市場では、新関税による米国内需要の抑制がグローバル価格の下押し要因になるとの懸念も広がっており、これがLME価格の上値を抑えている。
買い手の駆け込み需要 – 関税発効前の動き
関税適用前の駆け込み需要が、米国プレミアムの押し上げ要因となっている。一部ではカナダやメキシコが関税適用除外を交渉する可能性も指摘されているが、現時点では25%の関税が適用される見通しだ。
特にカナダに対する関税が懸念材料となっている。2020~2023年のカナダ産アルミ輸入比率は56%で、2024年には58%超に拡大。カナダに次ぐUAEは6%程度にとどまっており、カナダ産アルミは米国市場に不可欠な供給源となっている。
輸入依存の現状と関税の目的
米国は輸入なしではアルミ需要を満たせない。米国地質調査所(USGS)のデータによれば、2024年の**米国アルミ輸入依存率は47%**と、2013年の21%から大幅に上昇した。
また、採算性や競争の激化により、過去10年で米国の一次アルミ生産能力は約60%減少。**アルコア(Alcoa)、センチュリー・アルミニウム(Century Aluminum)、ノランダ・アルミニウム(Noranda Aluminum)**といった一次生産企業の閉鎖により、109.5万トンの生産能力が失われた。
関税の目的は、国内生産の保護と貿易交渉での優位性確保だ。2018年の232条関税(10%)適用時もミッドウエスト・プレミアムは急騰したが、2020年には過去最低水準へ下落した経緯がある。関税が短期的な価格押し上げ要因となる一方で、長期的には製造業のコスト増が需要を抑制し、成長を阻害する可能性がある。
業界の反応 – カナダ除外を求める声も
アルミ協会(Aluminum Association)は声明で、関税の適用除外の必要性を強調。「米国のアルミ産業は、カナダをはじめとする貿易相手国からの安定的な供給が不可欠」と述べ、投資の継続と製造業の競争力維持にはカナダ産アルミの自由な流通が必要だと訴えた。
一方、米国一次アルミ協会(APAA)は強く支持する姿勢を示し、「トランプ大統領のリーダーシップが数千の米国アルミ労働者の雇用を守る」とコメント。センチュリー・アルミニウムも「不公正貿易と闘う強力な措置」として歓迎し、232条関税の強化を全面的に支持した。
主要アルミ価格の変動
インド:一次アルミ現金価格 2.99%上昇($2.91/kg)(2月1日時点)
中国:一次アルミ現金価格 2.55%上昇($2,778/t)
LME:3カ月先物 2.22%上昇($2,597/t)
欧州:5083アルミ板 2.71%下落($4,583/t)
欧州:1050アルミシート 2.86%下落($3,709/t)
今後、米国の関税政策とカナダの対応次第で、アルミ市場のボラティリティはさらに高まる可能性がある。