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Swiss Steel Group |
株主構成の変化とコスト削減を理由に自主的な上場廃止を発表
スイスの鉄鋼メーカースイス・スチール・グループ(Swiss Steel Group)は、SIXスイス取引所からの自主的な上場廃止を決定した。2024年1月24日の発表によると、同社の株主構成の変化や再編計画がこの決定の背景にある。
スイス・スチールは、再編の結果として大口・長期投資家が主要株主となり、流通株式の割合が低下したことを指摘。株価の低迷と流動性の低さも考慮し、取引所への上場維持によるメリットがコストや管理負担を上回らなくなったと説明した。
また、同社は「自主的な上場廃止により、SSG 2025戦略に沿った再編と事業改善に経営資源をより効果的に配分できる」としている。
株主構成と今後のプロセス
スイス・スチールの流通株式比率は11.3%にとどまり、主な株主としてはGravelPoint Holding(65.75%)、PCS Holding AG(10.11%)、**Zürich Liwet HoldingおよびCH ComplexProm Joint Stock Company(合計12.85%)**が名を連ねる。
CH ComplexPromはロシア・キプロス系のオリガルヒ、ヴィクトル・ヴェクセルベルク氏のRenovaグループと関連があり、同グループはアルミ大手**ルサール(Rusal)**にも出資している。
同社は2月17日に臨時株主総会(EGM)を開催し、上場廃止の承認を求める予定。承認されれば、取引所の規制当局に上場廃止申請を行い、SIXスイス取引所が最終取引日を決定する。
スイス・スチールは、今回の決定が短期的な外部要因や現在の経済状況とは無関係であることを強調している。
株価低迷と人員削減計画
スイス・スチールの株価は2025年に入り低迷が続いており、2月7日の終値は1.84スイスフラン(約2.01ドル)。2023年2月7日時点の**17.54スイスフラン(約19.24ドル)**と比較し、89%の急落を記録した。
また、2024年第2四半期までにルツェルン州エメンブリュッケの製鋼所で人員削減を実施する計画。同工場には**年産50万トンの電炉(EAF)**があり、鋼片を生産し棒鋼や線材に圧延している。
これは、同社が2023年11月に発表した欧州全体での800人削減計画の一環であり、再編による効率化を進める狙いがある。