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BNDES |
リチウム、レアアース、ニッケル、グラファイト、シリコンに重点
ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)と研究・プロジェクト金融公社(FINEP)は、国内の戦略鉱物プロジェクトを支援するため、50億レアル(約8億2,100万ドル)の共同投資を発表した。この大規模な資金提供により、パイロットプラントや商業規模の生産施設の開発を促進し、国内の重要産業を支える鉱物資源の供給力を強化することを目指す。
投資対象鉱物とプロジェクトの焦点
今回の投資は、リチウム、レアアース、ニッケル、グラファイト、シリコンを対象とする。これらの鉱物は、電気自動車(EV)用バッテリーや太陽光発電セルなど、先端技術分野で不可欠とされる。資金はパイロットプラントや商業規模の施設建設に加え、ブラジルの産業能力を拡大するための重要な研究にも活用される。また、本プロジェクトを通じて民間投資を呼び込み、国内生産の成長を促進する狙いもある。
クリーンエネルギーと持続可能な発展の推進
BNDESは、この投資が国内の太陽光・風力発電の需要増加を支援する狙いがあると述べた。ブラジルは再生可能エネルギーの普及を積極的に進めており、2023年には総電力の91%がクリーンエネルギー由来となった。風力・太陽光発電はその約20%を占め、2022年の16.6%から大幅に増加した(エネルギー転換シンクタンクEmber調べ)。戦略鉱物資源の開発を支援することで、ブラジルは持続可能なエネルギー供給を強化し、輸入依存の低減を図る。
鉱物資源大国ブラジル
ブラジルは、世界最大のニオブ埋蔵量を誇り、この鉱物の主要生産国である。ニオブは合金、工具、金型、超伝導磁石などに幅広く利用されている。さらに、ブラジルは世界第2位の天然グラファイト埋蔵量を持ち、ニッケル・レアアースでは第3位、リチウム・シリコンではそれぞれ第5位・第3位にランクインする(BNDES調べ)。こうした豊富な鉱物資源を活用することで、ブラジルは世界の戦略鉱物供給網における重要なプレイヤーとなる可能性が高い。