IGO・天齐锂业、リチウム在庫問題で配当停止 豪州JVの経営に影響

Tianqi Lithium

オーストラリアの資源企業IGOと中国の天齐锂業(Tianqi Lithium)は、両社の合弁事業であるTianqi Lithium Energy Australia(TLEA)の年次配当を停止すると発表した。豪州クウィナナ製油所でのリチウム塩在庫の増加と販売減速を理由としており、市場の需要変化が影響している。特にバッテリー化学の変化により、水酸化リチウムの需要が低下していることが背景にある。

在庫増加と市場動向

IGOはTLEAの49%の株式を保有しており、同社の報告によると、水酸化リチウムの在庫が大幅に積み上がっているという。クウィナナ製油所は2024年10月に定期メンテナンスのために操業を停止したが、需要の伸びが予想を下回る中、在庫管理の課題が続いている。

需要減速の要因の一つは、バッテリー材料としての選好変化だ。リチウムコンバーターは生産ラインを改修し、水酸化リチウムではなく炭酸リチウムの生産に移行する動きを強めている。これは、リン酸鉄リチウム(LFP)電池の需要拡大によるもので、LFP電池はハイブリッド車、大衆向けEV、エネルギー貯蔵システムでの採用が増えている。


財務への影響と今後の見通し

こうした市場環境を受け、IGOはTLEAが2025年度の配当を実施しないと明言し、配当再開の見通しも立たない状況だ。市場の不透明感や在庫負担を考慮し、慎重な財務戦略を取る方針としている。

一方で、TLEAと米国アルベマール(Albemarle)との合弁事業であるグリーンブッシュズ鉱山は引き続き好調を維持し、安定したキャッシュフローを生み出している。これにより、精製市場の課題が続く中でも、原材料の採掘事業は堅調であることが示されている。

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