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Li-Cycle |
北米のリチウムイオン電池リサイクル企業であるLi-Cycleは、バッテリーエネルギー貯蔵システム(BESS)材料の回収量が大幅に増加したことを発表した。
2024年第4四半期、Li-Cycleの米国での原料供給におけるBESSの割合は約27%に達し、前年同期比で33%増の100MWh以上のエネルギーをリサイクルした。これは、2024年第1四半期のBESS原料供給比率(約2%)から四半期ごとに増加し、年間で25%の増加を示している。
BESSのリサイクル需要は、寿命を迎えたセルの廃棄だけでなく、設置時の損傷、製造不良、リコール、火災や事故による損傷など多様な要因によって生じる。Li-Cycleのリサイクルプロセスでは、リチウムやコバルトなどの重要鉱物をほぼ無限に回収・再利用できる。
同社はその実績として、アリゾナ州のSpoke施設で危険廃棄物として輸送された損傷したBESSモジュールを迅速かつ安全に処理した事例を紹介。また、厳冬によるBESS施設の稼働リスクを回避するため、環境サービス企業と協力し、約60MWhに相当する数百トンのモジュールを受け入れ、リサイクルしたことを明らかにした。
一方、Li-Cycleは2023年にロチェスター・ハブの建設を一時停止。米エネルギー省(DOE)の融資プログラム事務所(LPO)から3億7500万ドルの融資条件付き承認を受けていたが、建設コストの上昇が影響した。しかし、2024年にはLPOと最終的に4億7500万ドルの融資契約を締結し、11月7日に建設再開を発表。これはドナルド・トランプ氏の選挙勝利の2日後に発表され、政権交代前の融資決定を急いだとの報道もある。
DOEは近年、リサイクル企業Redwood MaterialsやBESSメーカーKore Powerへの融資も発表。特にKore Powerはアリゾナ州のギガファクトリー建設に向け、2023年6月にLPOから8億5000万ドルの融資条件付き承認を得ていたが、同社は最近、工場用地の売却を開始したと報じられている。
Li-Cycleの社長兼CEOであるアジェイ・コッチャー氏は、BESSリサイクル事業の重要性について次のように述べた。
「AIアプリケーションを支えるデータセンターの増加により、米国の電力需要は急速に拡大しています。BESSは、オンサイトのエネルギーソリューションやグリッド安定化を通じ、AI技術の成長を支える理想的な手段です。当社は、米国で商業規模のリサイクルを展開し、国内資源の循環利用を促進することで、海外鉱物への依存を低減する重要なBESSエコシステム・パートナーとしての役割を果たしていきます。」