MetinvestとDanieli、イタリアでのグリーンスチール新工場建設に向け株主協定を締結

JSW Steel 

共同出資で環境配慮型製鉄所を建設へ

ウクライナの鉄鋼大手Metinvestとイタリアの製鉄設備メーカーDanieliは、イタリア・トスカーナ州ピオンビーノの製鉄所敷地内に新たなグリーンスチール工場を建設するための株主協定を締結した。

Metinvestによると、この協定は、建設および運営を担うプロジェクト会社Metinvest Adriaの共同管理や意思決定、資金調達のプロセスを正式に定めるもの。工場は電炉(EAF)を採用し、年間270万トンの熱延コイル(HRC)を生産する計画だ。

総額25億ユーロの投資、国際金融機関も支援へ

本プロジェクトには総額25億ユーロ(約2.6億ドル)が投じられる予定で、資金の大半は国際金融機関や信用機関からの調達と、株主資本によって賄われる。加えて、イタリア政府の補助金も一部活用される見込みだ。

新工場では、**鉄スクラップ、銑鉄、直接還元鉄(DRI)**を主原料とし、一部はMetinvestのウクライナ国内拠点から供給される。また、Danieliとの基本設計契約も締結されており、電炉、鋳造、圧延設備の設計だけでなく、冷間鋼材加工センターや付帯設備の整備も進められる。

この協定は、必要な規制承認を含む前提条件を満たした後、2025年後半に発効予定。新工場の建設は、ピオンビーノ地区の産業再生の一環としても期待されている。

JSW Steel Italyも近代化計画に参加

ピオンビーノ製鉄所は現在、インドのJSW Steelの子会社JSW Steel Italyが所有しており、2018年にアルジェリアのCevitalから買収した。同社は2024年3月に**イタリア政府と近代化プロジェクトに関する覚書(MoU)**を締結し、レール圧延工場の改修を進める予定だ。

JSW Steel Italyはレール、ワイヤーロッド、棒鋼を生産しているが、これらの原料であるビレットやブルームは親会社JSW Steelから供給を受けている。同社は、新グリーンスチール工場の建設に関し、一部の土地の使用権をMetinvestに付与した。

イタリアの鉄鋼業、脱炭素化へ加速

EUのグリーンスチール市場は北欧が主導しているが、イタリアを含む南欧や中欧では遅れが目立つ。しかし、欧州の鉄鋼メーカーはグリーンスチール化への移行を積極的に推進しており、2025~2030年の間に約5,000万トンの新たなEAF・DRI設備が稼働する見込みだ。

イタリアでは、国営開発機関Invitaliaの完全子会社DRI Italiaが、2026年までにターラント製鉄所(プーリア州)で年産200万トンのDRI設備を新設予定。また、Arvediは2022年にトリエステおよびクレモナ製鉄所のグリーン転換に約2億2,700万ユーロを投資すると発表し、2023年には独自のグリーンスチールブランド**「Arvzero」**を立ち上げた。

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