チャック・ハル氏、全米技術アカデミー(NAE)会員に選出

3D Systems
3D Systemsの共同創業者であるチャック・ハル氏が、全米技術アカデミー(NAE)の会員に選出された。

現在、ハル氏は3D Systemsの再生医療部門の最高技術責任者(CTO)を務めており、3Dプリンティングの発明と、それに続く積層造形産業の発展に寄与した功績が認められた。

NAEの会員選出は、工学分野において最高峰の栄誉の一つとされ、技術や工学教育、リーダーシップに顕著な貢献を果たした技術者に授与される。

ステレオリソグラフィーの開発から3Dプリンティング産業の確立へ

ハル氏は、紫外線光源を製造するUVP社(現Analytik Jena)でエンジニアリング担当副社長を務めていた際に、ステレオリソグラフィー(SLA)技術の開発に携わった。1983年、UV樹脂を硬化させて三次元構造を形成する技術を用い、世界初の3Dプリント部品である「アイウォッシュカップ」を作製。その後、この技術の特許を取得し、3D Systemsを共同創業することで、現在の3Dプリンティング産業の礎を築いた。

数々の受賞歴と産業界への影響

ハル氏はこれまでにも、数々の栄誉を受けている。2023年にはジョー・バイデン米大統領より「国家技術革新賞(NMTI)」を授与され、2014年には「全米発明家殿堂」および「欧州発明家賞」に選出。さらに、2016年には「Manufacturing Leadership Lifetime Achievement Award」、2017年には「TCT Hall of Fame」入りを果たした。また、米国機械学会(ASME)は、世界初のSLA装置「SLA-1」を「歴史的機械工学ランドマーク」に認定している。

受賞の喜びと今後の展望

「名誉ある技術者の皆様と共にNAEに選出されたことは、身に余る光栄です。工学がもたらす社会的な影響をさらに推進するために、貢献できることを楽しみにしています」とハル氏は語る。

3D Systemsのジェフリー・グレイブス社長兼CEOも、次のように祝辞を述べた。「3D Systemsを代表し、チャックのNAE選出を心よりお祝い申し上げます。彼の先駆的な業績は製造業に革命をもたらし、医療分野にも大きな影響を与えました。ステレオリソグラフィーの発明は新たな産業の創出だけでなく、航空宇宙、個別化医療、AIインフラ、自動車産業など、多岐にわたる分野での3Dプリンティングの応用拡大につながっています。チャックの革新的な技術は、製造業と医療の未来を変革し続けています。」

2025年NAE新会員に128名が選出

ハル氏は、2025年のNAE新会員として選出された128名のうちの一人であり、さらに22名の国際会員も新たに加わった。会員は同業の技術者による投票で選出され、2024年12月に候補者リストが確定、2025年1月に最終投票が行われた。正式な授与式は、2025年10月5日に開催されるNAE年次総会で行われる予定だ。

また、整形外科手術とデバイス設計に貢献したStryker社のデジタル・ロボティクス・エナブリングテクノロジー部門の社長、ロバート・コーエン氏も、NAEの新会員に選ばれている。

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