Nucor、2月の鉄スクラップ価格上昇を予測

Nucor

鋼材需要の回復と供給減少が価格を押し上げる見通し

米国最大の鉄スクラップ消費企業であるニューコア(Nucor)は、2月の鉄スクラップ価格が適度に上昇するとの見通しを示した。電炉(EAF)メーカーである同社は、鋼材需要の回復と市場心理の改善が価格上昇を後押しすると予測している。

ニューコアは、2023年12月のスクラップ購入価格が前年同月比で低下したものの、2月の取引では価格上昇を想定していると明らかにした。同社のレオン・J・トパリアンCEOは、「受注残の増加や発注率の回復が進み、2024年の停滞感を徐々に脱しつつある。スクラップ価格の改善が期待できる」と述べた。

さらに、厳冬による供給の滞りや製造業の低迷がスクラップヤードの流通を鈍化させており、2月の取引では供給主導の価格上昇が見込まれるとスクラップ業者は分析している。また、米国政府がカナダ・メキシコからの輸入品に課す新たな関税もスクラップ価格を押し上げ、供給を逼迫させる要因となる可能性がある。

一方、鋼材需要は回復基調にある。鉄筋(Rebar)や熱延コイル(HRC)の価格は今月上昇し、ニューコアは厚板(Plate)価格を1ショートトン(st)あたり60ドル引き上げ、1,035ドル/st(工場渡し価格)とした。


スクラップ・DRIの生産動向と業績への影響

ニューコアの2023年第4四半期のスクラップ購入価格は1グロストン(gt)あたり381ドルと、前年同期の397ドル/gtから低下した。昨年の製鋼原料の構成比は、廃スクラップ(Obsolete Scrap)が54%、高品質スクラップ(Prime Scrap、#1ブッシェリング等)が25%を占めた。

また、同社の原材料部門は第4四半期に51万ショートトン(st)のスクラップと直接還元鉄(DRI)を外部販売し、前年同期の52.7万stから減少した。しかし、社内向けのスクラップ処理量は4%増の103万stとなり、DRI生産量も前年同期比20%増の100万stに達した。

ニューコアはルイジアナ州とトリニダード・トバゴにDRIプラントを有しており、第1四半期の原材料取扱量は前年同期比で増加すると見込んでいる。ただし、DRI価格の下落により、原材料部門の収益は圧迫される可能性があるとしている。

同社の2023年第4四半期の純利益は2億8,700万ドルとなり、前年同期の7億8,500万ドルから大幅に減少した。


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