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また、コマツが開催した「Quarry Days 2025」では、同社のHD605-10トラックを用いた実演が行われた。この実演では、コマツの採石場・中小規模鉱山向けフリート管理ソリューション「Smart Quarry Site」とPronto AHSが統合されたシステムが披露された。コマツはオーストラリアのFMS技術企業iVolveと提携し、Smart Quarry Siteを開発。その後、2023年末にiVolveを買収した。同ソリューションは、生産性、車両の健康状態、オペレーターの効率、アイドリング削減、持続可能性指標など、採石場の運営に必要なデータをリアルタイムで取得できる。
Pronto AHSは現在、コマツのHD605およびHD785のトラックで運用されており、今後は全てのコマツ製リジッドダンプおよびアーティキュレートダンプトラック(ADT)に対応予定だ。これには、HD1500までのリジッドメカニカルドライブトラック、HM300およびHM400のADTが含まれる。一方で、電動駆動式リジッドトラック(730Eから980E)は、コマツ独自のFrontRunner AHSとModular DISPATCH® FMSが使用されている。
Pronto AHSは、AI技術と耐久性の高いカメラシステムを組み合わせ、レーダーやLiDARのような高コスト・高複雑性のセンサーを不要とする設計を採用。そのため、数週間での導入が可能であり、競合システムと比較して大幅なコスト削減を実現するとされる。
ハイデルベルグ・マテリアルズの最高技術責任者(CTO)で取締役会メンバーのアクセル・コンラッズ氏は、「最先端技術をグローバルに導入することは、当社のオペレーショナルエクセレンスとデジタル革新を推進する重要な要素です。Prontoのソリューションは信頼性が高く、生産効率の向上、安全性の強化、持続可能性の推進に貢献すると確信しています」と述べた。
ProntoのCEO、アンソニー・レヴァンドウスキー氏は、「採石場市場において業界最高水準の安全性、性能、経済性を提供するAHSの開発を目指してきました。ハイデルベルグ・マテリアルズがPronto AHSをグローバル導入する決定を下したことは、当社の技術力の証明であり、目標を達成したことを示しています」と語った。
このグローバル契約は、2023年にテキサス州ブリッジポートのハイデルベルグ・マテリアルズの採石場でProntoの技術を試験導入し、その後、同州レイクブリッジポートの採石場で、複数メーカーのダンプトラックを用いた自律運搬フリートを北米で初めて実用化したことが契機となった。これらの成功を受けて今回の提携に至り、Prontoは非OEM系のAHSプロバイダーとして世界的なリーダーを目指す考えだ。