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Tata Steel UK |
2027年稼働予定、英国製鉄業界で数十年ぶりの大型投資
インド系Tata Steelの英国子会社Tata Steel UKは、英国ウェールズ・ポートタルボット製鉄所での高炉から電炉(EAF)への転換計画について、地方自治体の正式な承認を取得した。
Tata Steel UKのラジェシュ・ナイルCEOは、「これはプロジェクトにとって重要なマイルストーンであり、2027年末のEAF稼働開始に向け、今夏から本格的な建設を開始する」と述べた。
今回の計画は、2023年に英国政府が支援を決定した15億7000万ドル(約2350億円)のプロジェクトの一環で、イタリアのTenovaが電炉技術プロバイダーとして選定されている。
CO2排出90%削減、英国鉄鋼業の持続可能性向上
この転換により、ポートタルボットの製鉄所では5000人の雇用が維持され、CO2排出量は高炉操業時と比較して90%削減される。これは英国全体の直接CO2排出量の1.5%に相当する。
英国のジョナサン・レイノルズ・ビジネス・貿易相は「南ウェールズの鉄鋼業の将来に向けた重要な前進だ」とコメントし、環境負荷を抑えた「グリーンスチール」生産への移行を支援する意向を示した。
Tata Steelによると、英国は鉄スクラップの供給が豊富であり、従来の高炉製鉄に必要な鉄鉱石や石炭の輸入依存を削減できるため、電炉転換が最適な選択肢だという。
同社は昨年、老朽化した高炉・転炉設備(コークス炉、焼結工場、原料港などを含む)を閉鎖。今回の承認により、新たにEAFと二次製鋼用の2基の精錬炉(Ladle Metallurgy Furnace)、スクラップ処理ヤード、排煙・粉塵処理設備、排水処理施設などの建設が進められる。
Tata Steelは世界的に事業を展開しており、年間売上は275億ドル超。欧州ではオランダのTata Steel Nederlandでも高炉から電炉への転換を進めている。