米国の関税調査を受け、トレーダーが銅を米国へ急送
ロンドン金属取引所(LME)の銅価格は木曜日に1トンあたり1万ドルを突破した。トランプ前大統領による銅輸入関税の拡大懸念が高まり、電気自動車や電力網など幅広い産業で使用される銅の供給不安が市場を押し上げた。
2月25日、トランプ氏は米国商務省に対し、銅輸入が国家安全保障上のリスクをもたらす可能性について調査するよう指示する大統領令に署名。これにより、未精錬銅、銅精鉱、精錬銅、銅合金、スクラップ銅、特定の銅製品に関税が課される可能性が浮上した。商務長官は、大統領令発効から270日以内に報告書を提出する予定だ。
関税の影響を避けるため、トレーダーは米国向けの銅供給を急増させており、世界的な供給逼迫が進行中。BMOのアナリストによると、LME倉庫から出荷された銅の行き先は不明だが、米国の貿易データは輸入増加を示している。
「これは、米国の関税を巡る地域間の価格調整の一環です」と紫金鉱業(Zijin Mining)上海投資部門の副責任者、魏来氏は述べた。「貨物は米国市場へ引き寄せられ、他地域で不足が生じています。買い意欲は非常に強い状況です」
価格動向と市場の反応
木曜日のLME銅価格は前日比0.5%上昇し、1トンあたり1万46ドルに到達。これは昨年10月以来の最高値であり、ニューヨークのCOMEX銅価格も過去最高値に接近している。
また、COMEX銅先物とLME銅先物の価格差は1,254ドルを超え、2月のピークである1,149ドルを上回った。
「銅は1万ドル突破後も勢いを維持し続けている。我々はオーバーシュートを予想していたが、その通りになった」とゴールドマン・サックスのアナリスト、ジェームズ・マクギオック氏は顧客向けレポートで指摘。「精錬銅の供給不足が2025年第2四半期以降に本格化するとの見通しのもと、米国が銅を積極的に輸入している」
ゴールドマンの中期銅価格予測──1万500~1万1,500ドル/t
ゴールドマン・サックスのエオイン・ディンスモア氏らは、銅市場の中期予測を1万500~1万1,500ドル/tと設定。その根拠は以下の3点だ。
①電化需要の拡大
電化需要の拡大が銅市場の構造を変えつつある。2024年、中国の建設部門の銅需要が10%減少した一方で、電化需要が4%の成長を牽引した。2030年までの銅需要の増加は電化関連が主導し、送電網が50%以上を占める見通し。
②中国の景気刺激策
家電やEVなどの分野に対する中国の景気刺激策は銅需要を押し上げると予測。ゴールドマンは2025年の中国の精錬銅需要が4%成長すると見込んでおり、関税の影響(0.8%減)を上回る。もっとも、一部の景気刺激策は需要を前倒しする効果があるため、2027年以降の成長は鈍化する可能性が高い。
③代替素材の価格上限と鉱山供給
2030年までに銅需要は400万トン増加し、大規模な鉱山とスクラップ供給の成長が必要となる。ゴールドマンは「銅価格がアルミ価格の4倍を超えると代替が進み、2025年は1万500ドル/t、2026年は1万1,500ドル/tが上限になる」と分析。主な鉱山供給はコンゴ民主共和国の低コスト鉱山から増加するが、チリの供給安定がカギを握る。2026年までに1万500ドル/tの価格が維持されなければ、新規鉱山開発が進まず、2030年代初頭には大規模な供給不足が発生するリスクがある。
米商務省の関税調査の結果が出るのは年末と予想される。それまでの間、米国向けの銅供給が続き、世界市場の供給は一段と逼迫する見込みだ。
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