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Tyrone mine |
米国銅産業の競争力向上へ政府支援を期待
米国の大手銅生産企業**フリーポート・マクモラン(Freeport-McMoRan, NYSE: FCX)**は、トランプ大統領が銅を「重要鉱物」に指定すれば、年間5億ドルの税制優遇が受けられる可能性があると述べた。
フリーポートのキャスリーン・クワークCEOは、米国の銅産業の競争力を強化するために、税制インセンティブが不可欠だと強調している。
銅の「重要鉱物」指定がもたらす影響
トランプ大統領は、先週の米国議会演説で「重要鉱物の生産を大幅に拡大するための歴史的措置を講じる」と発表した。しかし、詳細についてはまだ明らかにされていない。
現在、米国地質調査所(USGS)はリチウム、ニッケルを含む48種類の鉱物を「重要鉱物」に指定している。銅がこのリストに追加されれば、インフレ抑制法(IRA)の税制優遇措置を受けることができ、フリーポートは年間5億ドル以上の利益を生み出せる可能性がある。
クワーク氏は「銅が経済に不可欠であることが徐々に認識され始めている。重要鉱物に指定されるのは時間の問題だ」と述べた。
米国内銅生産の課題と政府支援の必要性
フリーポートは、米国最大の銅生産企業として、国内7つの鉱山から生産される銅をすべて米国内で消費している。また、国内2カ所しかない製錬所のうち1カ所を保有し、年間2億ポンド以上の銅をリーチング技術で生産している。
しかし、米国内の銅鉱石の品位(含有率)は他国と比べて低く、採掘コストが高いため、米国の事業はフリーポートの中で最も採算が悪い地域となっている。
クワーク氏は、「政府が国内生産を奨励するのであれば、米国の銅鉱床は海外と比べて品位が低いという現実を考慮する必要がある」と指摘した。
銅の輸入関税とフリーポートの利益
トランプ政権は先月、銅輸入に関する新たな関税の導入を検討する調査を開始した。この関税が導入されれば、フリーポートの利益は年間4億ドル増加すると見込まれる。
しかし、クワーク氏は「我々は関税の導入を推進する立場ではないが、適切な判断が下されるよう、関係者に正しい情報を提供することが重要だ」と述べた。
グローバル展開と今後の展望
インドネシアでは、フリーポートが運営するグラスバーグ鉱山の銅精鉱輸出に関して、月末までにジャカルタ政府と合意する見通しを示した。
一方、トランプ大統領はグリーンランドやウクライナの鉱物資源開発に関心を示しているが、クワーク氏は「現時点では優先度が低い」としている。
また、**コンゴ民主共和国(DRC)**については、米国務省が鉱物資源開発の協力を検討すると発表。フリーポートは2016年にDRCの事業を売却したが、「適切な機会があれば再参入を検討する」との考えを示した。
「DRCに戻る可能性はあるが、我々が鉱山の運営者として主体的に関与できるプロジェクトであることが条件」とクワーク氏は述べ、現在DRC政府と交渉しているかどうかについてはコメントを控えた。