グリーンメタル技術革新に7億5000万豪ドルの投資

ARENA

オーストラリア連邦政府は、国内の金属産業の将来を支えるため、低排出技術の開発に7億5000万豪ドルを投じることを決定した。

この資金は、「Future Made in Australia Innovation Fund(オーストラリア製未来イノベーション基金)」の17億豪ドルの一環として提供され、排出削減、生産性向上、設備の近代化を目的とした試験・実証プロジェクトを支援する。

この取り組みにより、オーストラリアの鉱石と再生可能資源を活用したグリーンメタルの商業生産が促進され、貿易機会の拡大や雇用創出が期待される。現在、オーストラリアはアルミニウム、鉄、鋼鉄の主要輸出国として評価されており、年間1500億豪ドル規模の輸出産業のさらなる成長が見込まれる。

「今後、グリーンメタルの需要は世界の金属市場の3分の1を占めると予測されており、この機会を逃すわけにはいかない。」

こう語るのは、連邦産業・科学相のエド・ヒュージック氏である。

「1世紀にわたり金属産業はオーストラリア経済の根幹を支えてきた。この投資により、今後数十年にわたり国家経済と安全保障の基盤としての役割を維持できる。」


規制改革とコスト削減が鍵

本投資はオーストラリア再生可能エネルギー庁(ARENA)が管理し、「グリーンアイアン投資基金」やクリーンエネルギー技術製造支援など、既存の5億豪ドル規模の金属産業支援策と連携する。

西オーストラリア州鉱物エネルギー会議所(CME)のレベッカ・トムキンソンCEOは、本投資が国内のグリーンメタル産業の先駆けとなる可能性を強調する。

「西オーストラリア州は長年の鉱業投資により、強固な競争力を築いてきた。グリーンメタル分野で先行する絶好のポジションにある。」

しかし、トムキンソン氏は「グリーンメタル生産における技術開発と商業化の両立には、コスト競争力のある電力供給と規制改革が不可欠だ」と指摘する。


グリーン鉄鋼がもたらす経済・環境効果

鉄鋼生産は現在、世界の温室効果ガス排出量の6〜9%を占めており、その90%は鉄鉱石製錬によるものである。

CMEの最新報告によると、西オーストラリア州での大規模なグリーン鉄鋼生産が実現すれば、2050年までに世界のCO₂排出量を1.2%削減できる可能性がある。さらに、740億豪ドルの経済価値を生み出し、1万9600人の直接雇用を創出すると試算されている。

トムキンソン氏は、「連邦政府の支援は歓迎するが、エネルギーコストの削減、プロジェクト承認の迅速化、規制の明確化など、さらなる政策が必要だ」と訴えている。

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