トランプ政権、日鉄買収訴訟の延期を要請—合併交渉の進展を示唆

Nippon Steel

トランプ政権は、米国鉄鋼大手U.S.スチールと日本製鉄(Nippon Steel)が米国家安全保障委員会(CFIUS)を相手取って起こした訴訟に関し、政府にさらなる交渉時間を確保するため、2つの期限延長を求める申し立てを行ったことが、月曜日の提出書類で明らかになった。
この申請は、ジョー・バイデン前政権によって頓挫した買収案件が、トランプ政権下で何らかの形で進展する可能性を示す最も明確な兆候といえる。

CFIUS訴訟と合併交渉の行方

1月、U.S.スチールと日本製鉄は、外国投資による国家安全保障リスクを審査するCFIUSが、両社の合併を安全保障上の理由で拒否するよう勧告したことに対し、訴訟を提起していた。
これを受け、米司法省(DOJ)は先週、CFIUS訴訟のブリーフィング期限を21日間延長し、口頭弁論を4月24日から5月12日の週に延期するよう求める動議を提出。「この延期によって、U.S.スチールと日本製鉄の取引に関する政府の協議を完了させ、訴訟の本質的な審理を不要にすることを目指す」と述べた。
トランプ大統領は2月、日本製鉄がU.S.スチールの少数株主となる形態であれば問題視しないとの考えを示している。
これを受け、日本政府の報道官は、日本製鉄が従来の完全買収案から大幅な方針転換を検討している可能性を示唆した。
また、日本製鉄の森高弘副社長は、米国商務長官ハワード・ルトニックとの会談を調整しようとしたが、新たな合意には至っていないと2月に報じられた。

バイデン政権の対応と政治的背景

CFIUSを相手取った訴訟では、両社はバイデン前大統領が委員会の決定に不当に介入し、公正な審査を受ける権利を侵害したと主張。
バイデン氏は、大統領選の重要州でありU.S.スチールの本拠地であるペンシルベニア州で、全米鉄鋼労働組合(USW)の支持を得るためにCFIUSの判断を歪めたと訴えている。
U.S.スチールと日本製鉄は、DOJの申請に同意しているが、最終的には裁判所の判断に委ねられる。

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