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Mines in Queensland |
鉱業への影響と安全対策
オーストラリア気象局(BOM)によると、熱帯サイクロン・アルフレッドがクイーンズランド州南東部へ接近し、複数の鉱山が閉鎖を余儀なくされた。サイクロンはカテゴリー2に分類され、強風と豪雨により採掘活動に深刻な影響を及ぼしている。
閉鎖された鉱山と関連施設
ホルシム・オーストラリアは、3月5日よりクイーンズランド州内の採石場およびコンクリート工場の操業を停止し、3月10日に再開予定と発表した。同様に、ニューサウスウェールズ州のノーザンリバーズ地域(バリナ、リズモア、ブランズウィック・ヘッズ、カジノ、バイロンベイ)でも、同日までの閉鎖が決定された。
また、ニューサウスウェールズ州北部のコフスハーバー地域では、3月6日正午より閉鎖が開始され、3月10日に操業再開が予定されている。リソース・セーフティ・アンド・ヘルス・クイーンズランド(RSHQ)は、約400か所の採掘・採石場が影響を受ける可能性があるとして警戒を呼び掛けた。
サイクロンによる鉱業リスクと対応策
RSHQの鉱山・採石場主任検査官であるヘルマン・ファッシング氏は、「強風による飛来物や落雷、爆薬の誤爆リスクに備え、適切な対策を講じる必要がある」と述べた。特に爆薬の管理には細心の注意が求められ、湿気による発火リスクが高まることが指摘されている。
また、オーストラリア鉄道公社(ARTC)は、ニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州北部沿岸の鉄道網を事前に整備し、建設クルーを動員。現地鉱山と協力し、必要な資材を確保するために岩石などの備蓄を進めている。
政府の緊急支援と今後の対応
サイクロン・アルフレッドの影響を受ける地域の自治体には、1,500万豪ドルの緊急支援が提供される。この「コミュニティ救済基金」は、アルバニージー政権とクリサフリ政権が共同で拠出し、各自治体に最大100万豪ドルを割り当てる。これにより、廃棄物の撤去や公共インフラの復旧が迅速に進められる見込みだ。
オーストラリア政府は、クイーンズランド州およびニューサウスウェールズ州と緊密に連携し、被災地域の復旧を全面的に支援すると発表した。
クイーンズランド州鉱業の重要性
クイーンズランド州の鉱業は、2022-23年度に名目付加価値額で865億豪ドルを生み出し、州経済の中核を担っている。特に同州には世界最大級の石炭埋蔵量があり、2021年には2億8,000万トン以上の石炭製品を生産した。
州内の主要な石炭鉱山には、ピークダウンズ、ブラックウォーター、グーニエラ・リバーサイド、エンシャム、ケストレル、ミネルバなどが含まれる。今回のサイクロンによる閉鎖が、石炭市場や供給網にどの程度の影響を及ぼすか、今後の動向が注目される。
過去のサイクロンによる影響
今回の鉱山閉鎖は、2025年2月に発生した熱帯サイクロン・ゼリアによる影響と類似している。ゼリアはカテゴリー5の強力なサイクロンとして西オーストラリア沖で発生し、ピルバラ地域に壊滅的な被害をもたらした。ポートヘッドランドやダンピアの塩田が閉鎖され、海上輸送にも混乱を招いた。
サイクロン・アルフレッドの影響が長引けば、クイーンズランド州の鉱業にさらなる打撃を与える可能性がある。今後の気象情報と産業への影響を注視する必要がある。