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アルミニウム |
関税適用で豪州アルミ輸出に変化、対応策は?
米国政府は豪州の鉄鋼・アルミニウムに対し25%の関税を課すことを決定し、3月12日から適用される。この措置は短期的な課題をもたらすが、豪州のアルミニウム業界には対応策も残されている。
ニューサウスウェールズ大学(UNSW)のスコット・フレンチ講師は、保護主義的な政策を避けるべきだと指摘する。
「関税に対抗するために国内生産を保護する動きがあるが、これは過去の非競争的な産業構造を繰り返す可能性がある」
その代わり、フレンチ氏は一時的かつ的を絞った支援策が必要だと述べ、COVID-19時の「JobKeeper」のようなプログラムの導入を提案した。
「特にトマゴ(Tomago)アルミニウム精錬所のような重要施設は、操業停止すると再開コストが膨大になるため、維持することが重要だ」
柔軟な契約とアジア市場への転換が鍵
同大学ビジネススクールのマギー・ドン教授は、企業が採用できる短期的な対応策として柔軟な契約交渉、近隣国への生産シフト、多角化、金融ヘッジを挙げた。
特に「柔軟な契約(フレキシブル・コントラクト)」を活用し、価格や取引条件の再交渉を可能にすることが、関税リスクを軽減する第一歩となる。
「契約には関税や供給ショックなどの予測不能な事態に対応する再交渉条項を含めることが重要です」
さらに、アジア市場への輸出拡大が豪州にとって重要な戦略となる。
「豪州はインド太平洋地域の中心に位置しており、アジア経済圏との関係を強化することで、米国関税の影響を軽減できる」
現在、米国は**豪州のアルミニウム輸出全体の10%を占めるが、最大の輸入国は韓国(34%)と日本(23%)**である。**タイ(7%)**も主要市場の一つだ。
フレンチ氏は「貿易転換効果(Trade Diversion)」により、米国市場の減少を他の市場が補う可能性が高いと指摘する。
「豪州はすでにインド太平洋地域の多くの国と貿易協定を結んでおり、関税が導入されると、自然と他の市場との取引が活発化する」
これにより、豪州アルミニウム業界はアジア市場の需要拡大を活用し、米国依存を減らす戦略が求められる。