![]() |
Easpring |
中国のリチウム電池正極材大手、Easpring Material Technology(当升科技)の株価が3月4日、急落した。同社は韓国のバッテリー大手SK Onと3年間の供給契約を締結したと発表したが、市場の反応は冷ややかだった。
株価下落の背景と契約内容
Easpring[深セン: 300073]の株価は本日午前、前日比6.1%安の45.54元(6.25ドル)を記録。しかし、春節明けの2月5日以降、株価は累計23%上昇し、一時は約4カ月ぶりの高値をつけていた。
Easpringは2月28日、SK Onと契約を締結し、今年から2027年までの期間で、高ニッケルおよび中ニッケル正極材を合計1万7000トン供給する予定だと前日発表した。同社のフィンランドおよび中国の工場がSK On向けの優先供給拠点となる。また、SK Onは今後のバッテリー工場計画において、Easpringを主要サプライヤーとする方針を示している。
さらに、Easpringは2025年から2028年にかけて、追加で11万トンのリチウム電池正極材を供給する可能性についてもSK Onと協議することで合意した。
リチウム市場低迷による影響
SK OnはEaspringの主要顧客であり、2021年には正極材の長期供給契約を締結。2022年の調達額は19億元(約260.8百万ドル)に達したが、その後は減少している。
背景には、リチウム塩の価格暴落がある。2022年のピーク時から価格はわずか14%程度にまで下落しており、これが調達額の減少要因とみられる。
欧州市場への進出と成長戦略
Easpringは2023年、欧州EV市場の急成長に対応するため、フィンランドに初の海外工場を建設すると発表。投資額は7億7400万ユーロ(約810百万ドル)で、年間6万トンの生産能力を持つ第1期プロジェクトが2025年に稼働予定だ。同社はこの工場の70%を所有し、残り30%はフィンランド国営のFinnish Battery Chemicals Oyが保有する。
同社はLGエナジーソリューション、SK On、サムスンSDI、ムラタ製作所などの海外大手バッテリーメーカーと長期的な協力関係を構築している。これにより、フォルクスワーゲン・グループ、現代自動車、BMWグループ、メルセデス・ベンツ・グループなど世界の主要EVメーカーのサプライチェーンに参入している。