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鉄鋼 |
貿易救済措置の代替策と産業支援策を含む計画
欧州連合(EU)は3月19日、「鉄鋼・金属産業アクションプラン」を発表する予定だ。この計画には、鉄鋼産業に特化した優先措置が含まれる見込みである。これは、欧州委員会(EC)が発表した「鉄鋼戦略対話」の結果報告書に基づくものだ。
このアクションプランには、2026年6月に期限を迎える貿易救済措置の代替策が含まれるほか、クリーン鉄鋼生産の商業的持続可能性の確保や不公正な貿易慣行への対応策が盛り込まれる予定である。
鉄鋼業界の声を反映した戦略対話
3月4日には、ECのウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長が主導する戦略対話が開催され、鉄鋼業界の主要代表者や業界団体が参加した。この対話の成果が今回のアクションプランに反映されることになる。
欧州鉄鋼産業協会(Eurofer)のCEO、アクセル・エゲルト氏は「欧州委員会が鉄鋼産業の課題を最高レベルで認識し、業界と協力して解決策を見出そうとしていることに感謝する」と述べた。
Euroferは特に、貿易防衛措置の強化、炭素国境調整メカニズム(CBAM)の適用、競争力のあるエネルギー価格の確保、欧州域内でのスクラップ保持の4分野において決定的な行動を求めている。
公平な競争環境の確保と持続可能な産業基盤
欧州鉄鋼・鋼管・鋼製品流通業者協会(EUROMETAL)の会長、アレクサンダー・ジュリアス氏は、鉄鋼産業にとって公平な競争が不可欠であり、EUは競争条件の均衡を図るべきだと強調した。具体的には、現在無制限にEU域内へ流入している半製品および完成品に対するセーフガード措置の拡大が求められると述べた。
また、EU内の流通・加工・製造業の支援は、イノベーションを促進し、持続可能な産業活動の基盤を形成する上で重要である。EUは米国と中国の間に位置するため、適切な産業政策が求められる。
EUROMETALはCBAM作業部会への積極的な参加も表明した。
規制環境の効率化と脱炭素の推進
2月26日には、欧州委員会が「クリーン産業協定」を発表し、欧州の製造業競争力と将来性を支援する計画を示した。この計画では、脱炭素化を産業成長の強力な推進要因と位置づけるとともに、規制環境をより効率的にし、企業の官僚的負担を軽減する取り組みが進められている。