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EU Steel Safeguard |
新たな割当制限、主要輸出国に影響
EUは新たな鋼材セーフガード制度を適用し、厚板(hot-rolled plate)輸入に対する上限を設定する。この変更により、「その他の国」枠に分類される韓国、インドネシア、インドなどの主要供給国は、四半期ごとに11万トンまでの輸出制限を受けることになる。
新たな四半期ごとの厚板輸入割当は約55万トンと設定され、1-3月期の水準から約1.5万トン減少する。この規制は、2024年4月1日より発効する予定であり、WTO(世界貿易機関)が異議を申し立てない限り適用される。
韓国が最大の影響を受ける可能性
EUは2024年に210万トンの厚板を輸入しており、そのうち韓国からの輸入量は76万トンに達した。新たな年間上限は44万トンとなるため、韓国の輸出余地は32万トン(42%)減少する可能性がある。
一方で、インドネシアとインドの輸出量はそれぞれ42万トン、41万トンだったため、新規制による影響は限定的とみられる。
さらに、これまで可能だった未使用枠の次期四半期への繰り越しが禁止されるため、輸入国の戦略的な輸出調整が必要となる。
EU域内メーカーに追い風か
この変更により、EU内の厚板メーカーは競争力を取り戻す可能性がある。一方で、韓国からの供給減により、ブラジル、日本、北マケドニア、マレーシアといった輸出量の少ない国々が市場シェアを拡大する余地が生まれる。
ある貿易企業の関係者は、
「韓国が最大の敗者だ。総輸入量は減少するだろうが、EU域内では競争が激化するはずだ。市場の健全性は低下する可能性がある」
とコメントしており、域内メーカーの生産拡大が価格競争を生む可能性を指摘した。
今後、EUの鉄鋼市場は域内供給の拡大と輸入制限の影響で競争が激化し、価格や供給の変動が起こる可能性が高い。
ソース : argus
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STEEL