EUROMETAL、欧州委員会の戦略対話に参加 – 欧州鉄鋼業の未来を議論

EUROMETAL

鉄鋼産業の脱炭素化と競争力強化へ

欧州鉄鋼業界が重要な転換点を迎える中、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は「鉄鋼産業の未来に関する戦略対話(Strategic Dialogue on the Future of the Steel Sector)」を開始した。この高レベル会合には、鉄鋼業界の主要企業や業界団体、労働組合などが参加し、EUROMETALのアレクサンダー・M・ジュリアス会長も議論に加わった。

フォン・デア・ライエン委員長は、EUの基盤である鉄鋼の戦略的重要性を強調し、「欧州鉄鋼業界は脱炭素化の必要性と不公正な国際競争という課題に直面している。今回の対話を通じて、鉄鋼産業の持続可能な成長を支援する具体的な計画を策定する」と述べた。


欧州鉄鋼業界が直面する課題

会合では、高エネルギーコスト、世界的な供給過剰、鉄鋼価格の低迷が投資環境に与える影響が議論された。特に、クリーンスチール技術への投資が求められる中、産業界と政策当局の協力が不可欠であるとの認識が共有された。

この対話は、2月に採択された「クリーン・インダストリアル・ディール(Clean Industrial Deal)」と密接に連携しており、以下の支援策が検討されている。

  • エネルギー集約型産業向けのコスト削減
  • 低炭素鉄鋼市場の創出
  • 1,000億ユーロ超の投資によるクリーン製造推進

さらに、2026年6月に期限を迎える現行の貿易防衛措置(セーフガード)の代替策として、長期的な「鉄鋼・金属アクションプラン(Steel and Metals Action Plan)」の策定が進められる。この計画では、公正な貿易環境の確保、脱炭素技術の商業化、欧州市場の持続可能な成長が重点課題となる。


EUROMETALの役割と提言

EUROMETALは、欧州の鉄鋼流通業者・加工業者を代表し、以下の提言を行った。

  • 鉄鋼ユーザーとメーカーに公平な競争環境を提供
  • 半製品・完成品の輸入に対する保護貿易措置の強化
  • 鉄鋼流通・加工・製造業への支援強化による産業の持続可能な発展
  • 炭素国境調整メカニズム(CBAM)の適用範囲拡大と公平な競争環境の確保


今後の展開

この戦略対話を受け、欧州委員会のステファン・セジュルネ副委員長が、2025年3月19日に「鉄鋼・金属アクションプラン」を発表する予定だ。この計画には欧州議会およびEU理事会も関与し、産業界と政策当局の連携が強化される見込みである。

EUROMETALは、鉄鋼流通業界の声を反映させるため、今後も積極的に関与する方針を示している。

この戦略対話には、EUROMETAL、EUROFER、ESPA、EURIC、Euromines、FIEC、WindEurope、ACEA、ArcelorMittal、Tata Steel Europe、ThyssenKrupp Steel Europe、Salzgitter、Riva-Stahl、Outokumpu、Celsa Groupなどの主要企業・団体が参加した。


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