SQM、リチウム価格低迷を受け投資削減 – 2025年の支出1.1Bドルに縮小

SQM

価格低迷が続く中、投資方針を調整

チリのリチウム大手SQM(NYSE: SQM)は、電池用金属の価格低迷が続く中、2025年の投資計画を大幅に縮小する。年間投資額は11億ドルに設定され、そのうち5.5億ドルがチリのリチウム事業に充てられる。また、ヨウ素・植物栄養事業には3.5億ドル、国際的なリチウム事業には3.5億ドルが割り当てられる。

同社は2024年に約16億ドルを投資し、うち13億ドルを事業拡張に費やしていたが、2025年は大幅な縮小となる。


2024年の業績 – リチウム収益が56.7%減少

SQMは2024年第4四半期の決算で、純利益が前年同期比41%減の1.2億ドル(前年同期は2.06億ドル)となったと発表した。また、リチウムおよび誘導体の年間売上は22億ドルで、前年の52億ドルから56.7%の急減となった。

第4四半期のリチウム単体の売上も前年同期比33%減の5.32億ドル(前年同期は7.92億ドル)に落ち込んでいる。


2025年の市場見通し – 供給抑制の可能性

SQMのリカルド・ラモスCEOは、2024年のリチウム市場の需要が25%増加したことを指摘し、2025年もEV販売の拡大と蓄電システムの普及により、需要は17%増加すると予測した。「今年の価格は比較的安定し、2026年以降に回復基調に入ると楽観視している」と述べている。

同社は2025年のリチウム販売量が前年比15%増加すると見込んでおり、オーストラリアのマウント・ホーランド鉱山からのリチウム炭酸塩換算(LCE)1万トンを含む計画だ。加えて、2025年半ばにはクウィナナ精錬所(Kwinana Refinery)の操業開始を予定している。

しかし、BMOのアナリスト、ジョエル・ジャクソン氏は、SQMのガイダンスが生産能力に対して抑制的であり、供給調整の意図がある可能性を指摘した。ただし、「2025年の価格回復は期待できない」との見方を示している。


市場環境 – 価格低迷で業界全体が投資抑制

リチウム市場は、EV需要の伸び悩みを背景に長期低迷が続いている。この影響を受け、多くのリチウム生産企業が事業縮小や投資削減を余儀なくされている。

直近では、南アフリカのシバニェ・スティルウォーター(Sibanye-Stillwater, JSE: SSW, NYSE: SBSW)が2月、米ネバダ州のライオライト・リッジ(Rhyolite Ridge)リチウム・ホウ酸プロジェクトの開発を見送る決定を下した。


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