2024年の世界レアアース生産量が微増、埋蔵量は大幅減で供給不安高まる

レアアース

中国の生産拡大で69%シェア維持、ミャンマー・ロシアは減産/EV向け永久磁石需要が牽引も、探鉱停滞で将来リスク浮上

2024年の世界のレアアース(希土類)鉱山生産量は前年比3.7%増の約39万トン(REO換算)となり、前年の25%増から大きく減速した。一方、世界全体のレアアース埋蔵量は9,000万トンと、前年比21%の大幅減を記録。米国地質調査所(USGS)の最新データにより、レアアース供給の中長期的な安定性への懸念が浮上している。

2024年の緩やかな生産増は、中国や米国、タイ、ナイジェリアなどの増産によって支えられたが、ミャンマーとオーストラリアでの生産減が足かせとなった。

中国が最大供給国の地位を強化、新エネ車需要が牽引

2024年、中国のレアアース生産量は世界の69%を占め、引き続き圧倒的な存在感を見せた。国家による鉱業クオータの引き上げが背景にあり、永久磁石の需要増加、とりわけ新エネルギー車(NEV)の急成長が拍車をかけた。

中国自動車工業協会(CAAM)によると、同国のNEV生産台数は前年比34%増の1,288万台に達し、販売も36%増の1,286万台と過去最高を更新。輸出台数も6.7%増の128万4,000台となったが、欧州連合(EU)や米国・カナダによる関税措置が今後の輸出の足かせとなる可能性がある。

探鉱停滞と埋蔵量減少が供給リスクに

レアアースの世界埋蔵量は前年の1億1,400万トンから9,000万トンに急減。主因はベトナムとロシアでの埋蔵量見直しだ。一方、米国と南アフリカでは小幅な増加が見られたが、世界的な需要の伸びに対し、新規探鉱・開発の進捗が追いついていない。

EVとクリーンテック分野におけるレアアース需要が今後さらに拡大する中、供給網の構築と持続可能な資源開発戦略の重要性が一層高まっている。特に、全レアアース需要の約半分を占める永久磁石セクターは、長期的な供給不足を回避するための対策が急務とされている。

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