![]() |
金 |
価格高騰とETF流入が金投資を牽引、中央銀行も5カ月連続買い増し
中国の金市場は2025年第1四半期、金価格の過去最高更新、ETFへの大規模資金流入、および中国人民銀行の継続的な金購入により、極めて力強い動きを見せました。一方で、価格高騰が宝飾需要と金輸入に逆風となり、市場は二極化しています。これはワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の中国調査責任者、Ray Jia氏のレポートに基づくものです。
3月の金価格は、人民元建てSHAUPMと米ドル建てLBMA金価格PMの双方で過去最高水準を更新。金の国際的な投資需要が高まり、地政学的リスクや米中貿易摩擦の影響で安全資産としての金の魅力が一段と増大しました。
第1四半期の金価格上昇率は人民元建て・米ドル建て共に前年比19%の上昇。人民元建ては2002年の上海黄金交易所(SGE)設立以来、最も強い第1四半期のパフォーマンスであり、米ドル建てでも1975年以来最高のQ1パフォーマンスでした。
この背景には、ドル安、米国経済減速懸念、FRBの利下げ観測があり、金ETFへの資金流入も加速。中国国内では、3月単月で金ETFへの資金流入がRMB56億元(約7.7億ドル)に達し、ETF残高はRMB1,010億元(約140億ドル)に到達。保有量も7.7トン増の138トンと、いずれも過去最高水準です。
第1四半期全体ではRMB167億元(約23億ドル)の流入、保有量23トン増加と、いずれも過去最高。さらに2025年4月上旬の2週間でも29トンの追加流入、残高25%増が観測されており、Q2入り後も記録更新が継続しています。
輸入・宝飾・卸売需要は軟調、価格高騰が重しに
価格の急騰は宝飾品と輸入、卸売セクターに打撃を与えています。3月のSGEからの金引き出しは120トンで前月比30トン増だったものの、前年同月比では減少。Q1全体では336トンと過去10年平均より29%、前年同期比36%の減少でした。これは旧正月の反動と高値が需要を圧迫した結果と見られます。
金輸入においては、1月が17トン(2021年2月以来の最低)、2月は76トンに回復したものの、月間平均(102トン)を大幅に下回る水準。加えて、人民元建て金の現地ディスカウントが続いたことも輸入抑制の要因となりました。
Jia氏は、「高値水準が続けば、メーデー期間中の宝飾需要も限定的になる可能性がある」とし、金市場の消費セクターに対する警戒感を示しています。
一方、中国人民銀行(PBoC)は5カ月連続で金を買い増し、3月には2.8トンを追加購入。Q1全体では12.8トンを積み増し、保有量は2,292トン(外貨準備の6.5%)に達しました。これにより中国の外貨準備総額も3.5兆ドル(+2.3%)に増加し、金価格上昇が1%以上の貢献を果たしました。
また、3月には中国の保険会社4社がSGE会員として新規参入。これは中国の金市場における長期的な投資基盤の拡大を示しており、今後の投資需要を下支えする存在になるとWGCは見ています。
Tags
MARKET