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HRC |
ベトナム材の港湾滞留で供給圧力、米国・中国・インド市場の動向も影響
欧州における熱延コイル(HRC)価格は、4月前半に1トンあたり20ユーロ安の545ユーロCIFに下落した。Kallanishによると、ベトナムからの非通関輸入材の港湾在庫が膨れたことが背景にある。
現地製鉄所は、輸入材との競争が激化する中で価格修正を余儀なくされている。特に、ベトナムの無税輸入枠は第1四半期にすでに上限超過しており、8~10%の関税が適用されている。欧州委員会は3月にこの関税割当制度を見直しており、第2四半期には関税率引き上げが濃厚とされる。
需要低迷が価格上昇の足かせに
自動車産業など主要消費分野では需要回復の兆しが見られない。EUにおける新車登録台数は1月に前年同月比2.6%減の83万1,200台、2月には3.4%減の85万3,670台だった。
ただし、S&Pグローバルは3月に2025年のEU自動車生産見通しを6.3万台上方修正した。これは、欧州委員会が内燃機関車の排ガス規制(CAFE規則)を2028年まで延長したことが理由とされる。
米国・インド・中国のHRC価格動向
米国では、4月11日時点でHRC価格が975ドル/t EXWで横ばいとなった。米国製鉄所は、輸入再開リスクを警戒しつつ価格の現状維持を選択している。3月の米国新車販売台数は1,560万台に達し、関税効果で予測を上回った。その結果、2025年の販売予測も1,590万台から1,780万台に上方修正された。
ただし、自動車部品への関税がコスト増となり、年後半の販売鈍化が懸念されるとCox Automotiveは指摘する。
一方、インドでは新会計年度の開始に伴いHRCオファーが22ドル上昇し592ドル/t FOBとなった。全製品種に価格上昇の動きが波及している。
中国では、4月11日時点でHRC価格が470ドル/t FOBと3月末から10ドル下落。過剰生産により国内在庫が積み上がっており、公共投資や輸出拡大も需給緩和に追いついていない。
1~3月の中国の鉄鋼輸出は前年比6.3%増の2,743万トンで、2016年以来の高水準を記録している。
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STEEL