オーストラリア、45億ドルの税制優遇で重要鉱物産業を強化

リチウム

リチウム・レアアースなど31鉱種を対象、供給網の安定確保へ

オーストラリア連邦議会は、重要鉱物の国内精製・加工を促進する新法「重要鉱物生産税優遇措置(CMPTI)」を可決した。総額70億豪ドル(約45億米ドル)規模のこの政策は、対象企業に対して加工・精製コストの10%を税控除する内容で、2027年7月から2040年6月までの10年間にわたり適用される。

マデリン・キング資源相は「鉱業・精製産業にとってゲームチェンジャー」と語り、同政策が国内産業の高度化と国際投資の誘致、さらにはグローバルな供給網の強化につながると強調した。

対象はリチウム、コバルト、レアアースなど31鉱種

新制度の対象となるのは、オーストラリアの「重要鉱物リスト」に記載された31鉱種。リチウム、コバルト、バナジウム、タンタル、ガリウム、タングステン、レアアース(希土類)などが含まれ、EV(電気自動車)や太陽光パネル、風力タービン、半導体、先端防衛技術など低炭素技術の製造に不可欠だ。

これらの鉱物は、米国、EU、インド、日本、韓国、英国などの戦略的パートナー諸国でも重要鉱物に指定されており、信頼性と倫理性、多様性を兼ね備えた供給源としてのオーストラリアの地位を高める狙いがある。

グリーン水素向け税控除も併設、脱炭素社会へ前進

CMPTIと同時に、再生可能エネルギー由来の水素製造に対して1kgあたり2豪ドルを還元する税制優遇も導入された。これにより、オーストラリアは重要鉱物の供給国としてだけでなく、グリーンエネルギー技術の主導国としても存在感を強める。

クリーンエネルギーの世界的需要が高まる中、同国の新たな税制インセンティブは、脱炭素化を推進する長期的なパートナーとしての信頼を築く施策となっている。


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