アルセロールミッタル・クリヴィー・リフ、高炉6号機を再稼働

ArcelorMittal 

戦時下でも4日間で立ち上げ、日産3,400トンを安定供給へ

ArcelorMittal Kryvyi Rih(アルセロールミッタル・クリヴィー・リフ)は、ウクライナの製鉄拠点において高炉6号機(BF No.6)の操業を再開した。これは、2024年秋の市場危機と電力料金高騰により休止されていた炉であり、同社の社内紙「Metallurg」によって報じられた。

通常10日以上かかる立ち上げプロセスを、わずか4日間という異例の早さで完了。現在は日産3,400トンの銑鉄生産能力に達し、安定稼働している。

全班総動員、戦時下での技術力発揮

同高炉の準備には全4チームの高炉班が投入され、炉内残渣の除去や排水システムの整備など徹底したメンテナンスが実施された。第一高炉課の上級職長グリゴリー・サゾノフ氏は、「溶鋼排出のスムーズな再開に向けて、タンディッシュ周辺の清掃にも特に注力した」と語った。

また、技術担当副部長のアントン・キステレツ氏は、「高炉の立ち上げは複雑な多段階プロセスだが、オペレーターの熟練により自動化されている。今回はトラブルなく順調に始動した」とコメント。再稼働には高炉班長、ガス技師、技術者など多数の専門職が関与した。

2022年初の銑鉄鋳造炉、象徴的な再起

BF6号機は、2022年の全面侵攻開始後、最初に銑鉄が鋳造された高炉として、同社にとって象徴的存在である。2023年には空気予熱器・集塵設備・電装系の近代化を含む第二カテゴリ大修理も実施された。

同社は戦時下の厳しい状況でも2024年に銑鉄生産を前年比42.7%増の217万トン、粗鋼を同69.9%増の165万トン、圧延製品を同72.1%増の153万トンへと伸ばした実績を誇る。

ArcelorMittal Kryvyi Rihは、年間600万トンの粗鋼、500万トンの圧延材、550万トンの銑鉄を生産可能なウクライナ最大級の一貫製鉄所で、従業員数は2万人以上にのぼる。

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