「抹殺の日」が直撃──ASX株式市場に歴史的急落、資源株も大打撃

ASX

トランプ政権の関税戦争が市場を混乱、全セクターが赤字に転落

2025年4月7日、オーストラリア証券取引所(ASX)は再び「真っ赤な海」に包まれた。前週の米国「解放の日」が、いまや市場関係者から「抹殺の日(Obliteration Day)」と呼ばれるほど深刻な影響を及ぼしている。

S&P/ASX200指数は10時30分(AEST)時点で5.91%(453.2ポイント)下落し7,214.6ポイントに急落。過去5日間で9.61%、年間で7.19%のマイナスとなった。

ANZ銀行のFXアナリスト、フェリックス・ライアン氏は「これは第二次世界大戦以来、世界の貿易システムにとって最大の脅威だ」と指摘し、「リスク資産の強制的なポジション整理(デレバレッジ)と景気後退リスクの急拡大が起きている」と述べた。

中国の報復関税が資源市場に打撃、銅・金も下落

米国の関税政策に対する報復として、中国は4月10日から米国製品に34%の関税を課すと発表。これを受け、ANZ中国商品指数は2.8%下落した。

中でも銅価格はトン当たり9,000米ドルを割り込み、一時US$8,950(約14万9,000円)台に下落。「銅は工業活動の先行指標とされるが、中国の関税発表が売りを加速させた」とライアン氏は分析する。

金価格も例外ではなく、1オンスあたり3,000ドルを再び下回るなど、リスク回避の動きが一巡している様子がうかがえる。

資源株全面安、例外はライナス・レアアースズ

S&P/ASX200の11セクター全てがマイナス圏で始まった。特に素材セクターは4.35%の大幅下落を記録。公益事業(-2.95%)、工業(-1.5%)、エネルギー(-0.79%)も軒並み値を下げた。

個別株では、ライナス・レアアースズ(ASX:LYC)が0.55%上昇し唯一の光となった。一方、Capstone Copper(ASX:CSC)は13.86%下落、Paladin Energy(ASX:PDN)は11.6%安、Deep Yellow(ASX:DYL)も11.2%下落と、資源株には逆風が吹き荒れている。

S&P/ASX200は、オーストラリア市場における主要200銘柄で構成され、国内株式市場の約80%を占めるインデックス。国内機関投資家が指標とする市場ベンチマークとして広く認識されている。

この混乱が一時的か、それともリーマン・ショック級の地殻変動の始まりか、市場関係者の注目が集まっている。

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