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自動車シュレッダー部品にも関税影響、輸出競争力の低下懸念
米国トランプ前大統領は4月9日、「相互関税」の適用を90日間停止する一方で、カナダとメキシコを除く全貿易相手国に対して10%の一律関税を導入した。しかし同日、中国からの大半の輸入品に対する関税を即時145%に引き上げた。これは、中国政府が米国からの輸入品に対して125%の報復関税を課したことへの対抗措置である。
この結果、米国の非鉄金属リサイクル業者、特に銅スクラップの輸出業者が大きな影響を受ける可能性が高いとみられている。
米国リサイクル業界の懸念
米リサイクル資材協会(ReMA)の国際貿易担当副会長アダム・シェイファー氏は、「米国の再生銅の対中輸出は、米国が世界に輸出する再生資源の総価値の約10%を占める」と指摘する。
シェイファー氏は続けて、「トランプ政権の関税強化に対する中国側の報復関税は、我々の業界に深刻な貿易混乱をもたらす」と述べた。これは、トランプ氏の前任期中にも見られた現象の再来だという。
銅スクラップとシュレッダー部品に課題
関税措置により、銅や自動車シュレッダーの摩耗部品など、輸出依存の高い製品がとりわけ打撃を受ける。現在、これらの部品には最大45%の関税が課されており、その内訳は緊急国境税20%と、アルミニウム派生品に適用されるセクション232関税25%だ。
摩耗部品はアルミ製ではないにもかかわらず、関税適用対象とされており、業界関係者は米通商代表部(USTR)との交渉を継続しているが、5月31日以降の除外措置の延長に関する明確な回答は得られていない。
鉄鋼・アルミ関税の影響も波及
米国のセクション232関税に対し、カナダは300億カナダドル相当の米国産鉄鋼・アルミ製品に報復関税を課している。EUも210億ユーロ相当の関税を一時発表したが、現在は一時停止中である。ただし、米国の鉄鋼・アルミスクラップ輸出には現時点では適用されていない。
米中貿易摩擦の長期化は、米国の再生資源輸出産業に深刻な影響を与える恐れがあり、今後の通商政策の動向が注目される。
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