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ステンレス |
受注低迷と供給過剰が市況に重圧
欧州のステンレス薄鋼板市場は現在、受注の低迷と価格下落という困難な局面に直面しています。ステンレス加工業者やサービスセンターによれば、2025年5月納入分の価格は1トンあたり20〜30ユーロ下落しており、製造各社の受注残は依然として弱含みです。
一部のメーカーは段階的な週次値下げを継続しており、この傾向はしばらく続くと見込まれています。3月に実施された値上げも効果を示さず、市場の不透明感と需要減退を背景に、買い手側が購入を抑制したためです。
イタリアやドイツでも購買活動は鈍化
供給量が需要を上回る状態が続いており、イタリアのサービスセンターではクライアントが最小限の調達にとどめていると報告しています。多くの案件はバック・トゥ・バック取引(都度対応型)であり、サービスセンター自身も在庫補填レベルでの購入にとどめる傾向です。
複数の加工業者によれば、2025年第一四半期の販売量は前年同期比で横ばいとなっていますが、マージンが圧迫され、一部では損益分岐点を下回る水準まで落ち込んでいます。
シート価格の引き上げ努力は続いているものの、市場では1トンあたり2,550〜2,620ユーロ(工場渡し)で横ばいが続いており、ボリュームや仕様によって差があります。
市場減速、5月は祝日多くさらなる鈍化懸念
4月と5月はイースター休暇と複数の銀行休業日の影響により、さらに市況が鈍化するとの見方が広がっています。特にフランス、ドイツ、イタリアではリスク回避の姿勢が強まり、投機的な動きは限定的です。
欧州の冷延コイル(CRC)は納入込みで1トンあたり2,450ユーロが見積価格で、熱延コイル(HRC)はこれより130〜150ユーロ安です。イタリア国内では価格水準が更に低く、**CRCは2,380〜2,400ユーロ/t、HRCは2,170〜2,200ユーロ/t(いずれも納入込み)**で取引されています。
市場再均衡への兆しも
イタリア鉄鋼流通業協会(Assofermet)による2025年4月の市況レポートでは、ステンレス薄鋼および長尺品の需要は依然として軟調とされつつも、供給と需要の再均衡が4月に期待されるとしています。在庫管理強化の動きが価格下落を一定程度抑制し、マージン維持につながる可能性も指摘されています。
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