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鋼材需要の頭打ちと好天による供給増が価格を押し下げ
米国のスクラップ価格は4月初旬から下落傾向に入った。HMS 1/2(80:20)スクラップの価格は3月21日比で2ドル下落し、FOB東海岸で353ドル/トンとなった(Kallanish報道)。
3月には16ドル/トンの上昇を見せたが、鋼材需要の鈍化により一部の製鉄所がスクラップの受け入れを停止している状況だ。
市場関係者は、4月のスクラップ価格は横ばいまたは緩やかな下落と予想する。あるサプライヤーは、「熱延コイル(HRC)が900ドル/トン以上を維持するとは誰も思っていない。需要が伴っていないからだ」と述べた。
さらに、温暖な天候によりスクラップ収集が活発化しており、供給増が価格に下押し圧力をかけている。
トルコ・中国の輸入需要も弱含み、グローバル価格に波及
米国市場だけでなく、中国・トルコの輸入需要も低迷している。中国では3月21日〜28日にスクラップ価格が4ドル上昇し344ドル/トン(CFR)となったが、これは日本からの供給減と台湾電炉メーカーの中国調達による一時的な動きに過ぎない。
一方、トルコの輸入価格は381ドル/トン(CFR)で横ばい。トルコ国内の政治不安により製鉄所は様子見姿勢を強めている。また、トルコリラの下落(3月21日時点で1ドル=38リラ)により、輸入スクラップは割高になっている。
ある製鉄所の担当者は「エネルギー価格が不透明な中、急いでスクラップを購入する必要はない。在庫もあり、価格も下がっている」とコメントしている。
米国の粗鋼生産は微増も、通期では減少傾向に
アメリカ鉄鋼協会(AISI)によれば、3月29日までの週の粗鋼生産は1,697万トンで前年比0.1%増。ただし、1月1日〜3月29日の累計では1.3%減の2,086.8万トンだった。
設備稼働率も前年同期比で1.3ポイント低下し74.5%となった。これは輸入関税の影響による先行き不透明感が主因とされており、今後のスクラップ需要の制約要因として注視されている。
ヨーロッパでは、HMS 1/2スクラップが4月4日時点で351ドル/トン(FOBロッテルダム)まで下落。サプライヤーは契約価格を3月水準で維持しているものの、今後の方向感は見通せない。
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