ウクライナ、マレーシアからの鋼板輸入に反ダンピング調査開始──中国製品の迂回供給を警戒

鋼板

ウクライナの国際貿易政府間委員会(ICIT)は、マレーシアから輸入される被覆炭素鋼平鋼板製品に対し、反ダンピング調査を開始した。2023年に課された中国製同種製品への反ダンピング関税を回避する意図的な貿易ルート変更の可能性が指摘されている。政府系新聞『Uriadovy Courier』が報じた。

国内鉄鋼メーカーのHeavy Metal LLCおよびMODUL-UKRAINE LLCが政府に申立てを行い、2023年以降に中国からの輸入が減少する一方で、マレーシアからの輸入が増加している事実を提示。これが「迂回供給」による関税逃れの疑いを強めている。

ウクライナ経済省によれば、マレーシア経由の輸入は、関税評価額の引き下げや反ダンピング税回避を狙った「人工的なスキーム」である可能性があるとしており、国家関税局と連携して調査が行われる。

調査期間中、マレーシアからの輸入業者には国家財務庁の預託口座に保証金の前払いが義務付けられ、調査結果次第で関税が課される可能性がある。

経済省は、利害関係者に対し、法定期間内に証拠資料をウクライナ語で提出するよう呼びかけている。ICITの決定は、官報掲載から10日後に発効する。

なお、GMK Centerの報道によれば、2025年1〜3月期の平鋼板製品の輸入量は26万8,250トンで、前年同期比28.8%増。主な供給国はトルコ、ポーランド、スロバキア、中国、イタリアだった。2024年の年間輸入量は前年比8.3%増の98万3,490トンに達した。

コメントを投稿