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EUROMETAL & YISAD会議で明かされた欧米の対応と見通し
2025年4月8日、イスタンブール・マリオット・ホテル・アジアにて開催された「EUROMETALスチールデー&YISAD薄板鋼会議」には、400人以上が参加。トルコ薄板鋼輸出入業者・製造業者協会(YISAD)会長のメティン・タイフン・イシェリ氏と、欧州金属流通業連盟(EUROMETAL)会長のアレクサンダー・ユリウス氏が開会の挨拶を行った。
イシェリ氏は、鉄鋼貿易の世界における保護主義の台頭に警鐘を鳴らした。彼は「2018年のトランプ大統領によるセクション232関税の導入が、自由貿易から保護主義への転換点となった」と強調。続くバイデン政権下では一部例外措置が適用されたが、それでも米国が輸入した2700万トンのうち、課税対象は300万トンのみだった。
一方で、トルコはわずか30万トンを輸出し、すべてに関税が課される“最も厳しい扱い”を受けたと指摘。イシェリ氏は、トランプ氏が関税の例外措置を撤廃し、全輸入国に一律25%の関税を課す新方針を表明したことに触れ、「これにより競争条件が公平になった」と前向きな見解を示した。
EU、関税を追い風に国内製造業を支援へ
続いて登壇したユリウス氏は、トランプ氏の関税再導入により「市場は混乱したが、欧州鉄鋼業界にとっては製造業支援の契機となっている」と発言。欧州委員会はこれを受け、地域産業への支援と鉄鋼自立化を加速していると述べた。
さらに、「鉄鋼派生製品(最終製品)への関税問題はECが優先的に対処すべき」と強調。ユリウス氏は、「欧州グリーンスチール政策の推進前に、まず自国生産の強化が必要」とし、EUROFERとの協力の重要性を示した。
EUによるクォータ削減などのセーフガード措置の継続にも言及し、「少なくとも2026年7月までは現行措置の維持が望ましい」と発言。講演の最後には、2025年7月2〜3日にルクセンブルクで開催されるEUROMETAL創立75周年記念会議への参加を呼びかけた。
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