EU、日本・エジプト・ベトナム製HRCに暫定ダンピング関税導入

HRC

欧州HRC価格、輸入制限で堅調推移も実需懸念

欧州委員会は2025年4月7日、日本、エジプト、ベトナムからの熱延鋼板(HRC)輸入に対する暫定アンチダンピング(AD)関税の導入を正式に発表した。EU官報に掲載された内容によれば、関税は同日より6か月間有効となる。

今回の税率は、3月14日に公表された事前開示文書から若干引き下げられた。エジプトのEzz Steelおよびその他企業には12.8%(事前は15.6%)、日本企業には最大31.8%の関税が課される。具体的には、日本製鉄とその他の日本企業には31.8%(事前は33%)、JFEスチールと大同特殊鋼には31.1%(事前は32%)、東京製鉄のみ6.9%で据え置きとされた。

ベトナムのFormosa Ha Tinh Steelなどには12.1%が課されるが、Hoa Phat Dung Quat Steelは対象外となっている。インド企業に対しては当初検討されていた関税は導入されなかった。

欧州域内HRC価格、輸入制限で上昇基調

これらの措置により、欧州域内のHRC価格は供給制限を背景に上昇を見せている。4月7日時点で、Fastmarketsによる北欧域内HRC価格指数は1トンあたり652ユーロと、前週比で5.75ユーロ、前月比では20.62ユーロの上昇となった。

北欧の流通業者によれば「第2四半期の製鉄所の受注状況は良好で、輸入品も制限されており、売り手優位の市場となっている」との声がある一方で、自動車業界をはじめとする需要の先行き不透明感が市場の持続性に対する懸念材料とされている。

今回の関税措置は、EUの鉄鋼業界保護と価格下支えを目的とする一方で、グローバルなHRCサプライチェーンへの影響が今後注視されることになりそうだ。

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